第3話不摂生エルフ

「おい、エルフ俺はあの瞬間ほんっとに!焦ったんだぞ魔力を分けてある程度復活すると思ったら、

今度は栄養失調でぶっ倒れやがって。しかもなんだ、理由が読書に夢中で食事を怠っただとふざけるな!

お前それでも長命種のエルフか!」

「ほ、本当にごめんなさい!いつもいつも食事を摂るのを忘れちゃって・・・」

「ったく・・・ここが病院で尚且つ俺が医者でホントに良かったなお前。」


先ほどまでの緊迫した空気とは違い、辺りには安堵感と、エルフ少女の食べかけの病院食があった。

「しっかし、まぁ・・・食事を摂れるだけまだ良かったとは思ってるよ医者として。」

「というか、ロリお前ホントすごいんだなすぐに一人分の病院食用意させるなんて。

この子が倒れた原因は元々の体の弱さと、食への関心の無さ、それと魔力の不足?だろお前の管理下なら

もう心配ないんじゃないか。」

「ん?お前何か勘違いしてないか。こいつの魔力不足は俺にしか治療できないから面倒見てやる、

だが食事に関してはもう面倒見ないぞ、俺は。」

「え、いや。でもお前様子を見る限りこの病院での立場かなりのものだろ、

一人分の食事なんて簡単に用意できるんじゃないか?」


「馬鹿がお前この一食用意するのにどんだけ頭下げてまわったことか。

そもそもこのエルフは私が個人的に、個人のスペースで匿ってるだけだからな。

コイツに今後も何か作ってやりたいんならお前が作れ。

どうせ今の仕事も辞めるんだろう?・・・いい機会だ俺が雇ってやるよ。」

ロリが不敵に笑って目を光らせた

「!?・・・お前なんで俺がバイトを辞めることを」


「いえ、その必要はございません」

戸惑っているとエルフの少女が言葉を遮った

「もちろん、今安全な場所で寝床を与えてもらってるという立場なのは重々承知しています。

だからこそこれ以上の負担を掛けたくはないんです。

皆様が知っての通り私は今こんな成りでもエルフなのです、

森で暮らし蓄えた植物採取の知識で食事面の心配事はどうにかしてみせます。」


「あー・・・自身満々なとこわりぃんだがここはお前のよく知った世界でもましてや森でもないんだ、

つまりお前の頭に詰まってる何百年と生きた知識ははっきり言って意味が無いんだ。

この世界ではアンタは生まれたばかりのバブと何ら変わらないんだよ。

それに例え採取の知識があったとしてもまさか採った雑草だけ食べて生きていくつもりか?

馬鹿言えお前の中の栄養は今スカッスカなんだよ。

毎日の健康的的で永続的な食事の摂取が必要で・・・」


「あー、わかったわかった。ロリお前が言うように俺がこの子の食事の面倒を見る。

だから今すぐその説教の真似事はやめてくれ・・・他人に向けられていると分かっていても聞いてるだけで頭が痛い。」

エルフの少女へと向けられたロリの発言に頭が痛くなり、ついそんな事を思わず咄嗟に言ってしまった

「お、言質取ったからな?」

その発言待ってましたと言わんばかりの表情をしたロリの顔を見た瞬間思わず

ハメられているのではないかと思ってしまった

「あ、いやぁ。俺は大丈夫だけど・・・そう!君、えーと・・・」

「失礼しました、そういえば名前をまだ名乗っていませんでしたね。

ミコナタと申します、今後ともよろしくお願いします。」

「あ、俺もまだだったね御伽景オトギケイって言います。

こちらこそ今後ともよろしk・・・今後とも?」

「はいっ!」

「え、大丈夫なのホントに。俺見ず知らずの冴えない無職(になる予定の)男だけど・・・ホントに?」

「もちろんです。それにあなたは私の中ではもう見ず知らずの人ではありません。

聡明で素敵でとても可愛らしい命の恩人魔女様の元まで私の身を運んでくださった

もう一人の命恩人様です。・・・あっ、勿論店主さんも命の恩人ですよ。」

「んじゃ、そゆことで決まりな。それと無職のこと気にしてんだろうけどそこは安心しろ、

エルフ専属の飯使メシツカイとして俺が雇ってやる。良かったな栄養失調の病院で眠れるお姫様。

何もわからない世界でお前の代わりになってくれる手足、手に入ったぞ。」

「ふふ、よろしくお願いしますね景様。」

「え、あっはい!が、頑張らしていただきます!!!」


急展開すぎて何が何だか自分でも分かってはいないが

あの時あの店で一歩踏み台たおかげで少しの間止まっていた人生の歯車が動き出した気がした

店主さんには本当に頭が上がらない


「というか、BBAさっきから発言が無くないか。おーい、死んだか?」

「は?!いや、まさか。まさか?!」

そんなことはない、ないはずだが思わず怖くなって店主に目を向けると

「Zzz・・・」

よくよく考えたら辺りはすでに真っ暗になっていた。

まぁそうだよねお店に居たとき既に暗くなってきていたもんね


「まぁ、今日はもう遅いしBBAの身体にもよくねぇ。明日また来な。」

エルフの少女を背負ってきた道を店主さんを背負い俺はあの古本屋へと戻った

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