第2話偶然
突如として現れたその少女はキレイな黄緑の髪をしており手足は細く何よりの特徴は・・・耳が長かった
(うわぁ、腕細っ。髪奇麗・・・なんかすっごいいい香りする。って、っそれどころじゃねぇ!!!)
「う、うぅ・・・」
「ええと、あ。」
しまった。この少女を今すぐに病院へと連れていきたいのだが普段不健康な生活をしていても
若さで何とかしていたためか普段から病院を利用しないため、
こういった時にどこへ駈け込めばいいのかがさっぱり分からない。
「一体どうしたんだいその子は?」
ピンチに頭グルっていると麦茶を盆に乗せた店主が2階の自宅部分から降りてきていた
「その子まさか病人かい?それよりもまず、何があったんだい?」
「と、それは・・・」
当事者の自分自身でさえまだ現実味を帯びてないような
先ほど起きた摩訶不思議な現象を一体どう説明すれば
「まぁ、色々とあるのが人生だからね」
「!」
「とりあえずはその子を病院に連れていきましょうか」
「は、はい。でもこの近くに病院なんて」
「大丈夫よ、そう遠くないところに大きな病院があるわ。というのも実は私その病院に定期でよく通ってるの、そこの”可愛い”お医者さんともとっても仲良しなの。だから今からの時間でもきっと診てくれるわ、その子のためにも急ぎましょう。」
「申し訳ないけど病院までの間その子のこと任せちゃっても大丈夫かしら」
「任せてください、って軽っ!」
彼女は見た目通り普通の人より軽かった。
そもそも彼女は人なのか・・・そんな疑問を抱えながら店主さんの係りつけの病院へと足を急いだ
あのお店から徒歩で15分程
自分がいかに普段から外界に目を向けてないことを痛いほど痛感した・・・こんな立派な病院が
近くにあったことに今の今まで気づかなかったなんて
「もうお医者さんには電話でお話を通してるから入り口から入りましょう」
_____
予約も何もせずこんな入り口から堂々と入ってしまっても良かったのか、などと考えていると
「三島様ですね”先生”からお話は聞いております。こちらになります。」
まるでVIPのような待遇に驚きつつナースさんと店主さんについていくと
「こちらになります、詳しい話は中にいらっしゃるニコミ先生から直接お聞きください。
それでは失礼いたします。」
ナースは深々と頭を下げると目の前の部屋から逃げるように速やかに去っていった
「店主さんいったい何者なんですか?」
「あはは、私は普通の古本屋の店主だよ。普通じゃないのはこの部屋の中にいる子のことかもねぇ」
そう笑いつつドアを開けた店主さんと今だ目を開けない謎の少女とともに病院の一室に足を踏み入れた
_____
「あぁ。なんだBBAまた来たのか今度は一体何なんだ、面倒ごとはお前の身体だけにしとけよ」
ドアを開けた先に居たのは、ぶかっぶかの白衣を羽織。
胸元・・・サイズがあまりにもオーバーサイズのため正確には胸元ではないだろう場所に、
無数もの立派なバッジを付けドアと口が開いた瞬間に店主さんへと悪態をつく・・・口の悪いロリだった
「ん?お前、今私のこと小便臭いガキだと思っただろ。なぁ。」
「いぇあ?!いえ、思ってないです!」
こわっ!!!目の前にいるのは確かに幼い子供のはずなのに睨まれると体がすくんでしまう
「残念だったなこのロリコン野郎。
私は確かにロリだ実際体の発育もその通りで初潮すらも来ていない。だが実年齢はとうに400歳を超えている。」
「い、いやちょっと待てよ。おかしい、というかなんだよ400歳超えてるって・・・」
「『おかしい』『信じられない』はお断りさせてもらうぜ、その言葉が意味ないってのはあんたが担いでるそいつで十分分かってんだろう。”ホント馬鹿だよな人間って”」
「お、おい。それっt」
まるで自分が人間ではないようなロリの言い方に違和感を覚え問いかけようとしたとき
「っと、さっさと始めんぞ。お前が抱えてるそいつこのままだとそう長くはないぞ。」
「それを早く言えよ!というか、始めるって一体何を?」
「普段は行わない”特別な治療”さ。
あんたら二人に秘密厳守の主義義務付きのな、さぁそいつをいい加減ソファーにでも寝かせてやれ」
「っしょ、と・・・これでいいか?」
「あぁ上出来だ坊主。頭撫でてやるよ、ほら早くしゃがめ。」
「は、はぁ」
言われるがまま膝を地につけロリに頭を向けた
「そうだそうだ言う事聞けて従順で偉いぞほ~れほれ」
「っ・・・恥ずかしいなぁ。おい!もういいからとりあえずこの子をどうにか助けてやってくれ」
「ん。おお、そうだったな面白くてつい、な。」
そう言って笑うとロリは白衣を軽く整え、おもむろに一冊の本を開いた
「一体何をするつもりなんだ?」
「ん?あぁ、これか。悪いなこの歳になると忘れっぽいみたいでどうも、
魔法の詠唱を逐一確認しないと使えないんだよ。」
「はぁ?魔法?詠唱?というかさっきから何を言って」
「私は、400年生き続ける魔女で今はこうして病院で働いてんだよ。」
「・・・はぁ?」
「さっきも言ったろ長生きしてるって」
「いやそんなもの信じてないし」
「そうか、じゃあ今から行う”特別な治療”をよーく目に焼き付けろ」
ロリは持っていた本をペラペラとめくる手を止めるとソファーで寝ている少女に触れると
先ほどまでとは違い神妙な顔で何かを唱え始めた
「こ、これが治療?ホントに良くなるんですかね?」
「ふふ、大丈夫よあの子口は悪いけどすごいお医者さんなのよ。
それに、私もよく治してもらってるし。」
「どこか御身体悪いんですか?・・・あ、嫌・・・だったでしょうか」
「ううん、大丈夫よ。それに実はあの子出会ってから症状自体も良くなってきているの、だから。
あの子のこともきっと助けてくれるわ。」
そうだったのか、今自分に出来ることは祈ることのみのようだ。
「ま、こんなとこか」
「”特別な治療”ってやつは終わったのか?」
「あぁ、時期に目を覚ますさ・・・と、
言ってる傍からどうやら起きたようだぜ。”エルフの嬢ちゃん”。」
「ここは・・・?それに皆さんは一体。」
「ここか。ここは、日本ってとこのとある病院の一室さ正確には病院内の私のプライベートルームさ。
まぁ簡単に言えば、病人だったお前を私が治療したんだ。んで、ここまで運んできてくれたのがこの二人って感じだ。」
「そうだったんですね、ありがとうございます。」
少女はそう聞いた瞬間こちらに振り向き深々と頭を下げた
「い、いえ俺はただ運んだだけだったので・・・」
「私もただここに案内しただけだよ、本当ニコミ先生と御伽君のおかげさ。」
「と、仲良く謙遜し合ってるところ申し訳ないが。確かに治療したのは俺だが、今回のMVPは確かに
アンタら二人だよ。なんせここ以外の病院に行ってたら確実に助かってなかったからな。」
「それは、さっきも言ってた”特別な治療”ってやつなのか?」
「あぁ。エルフの嬢ちゃんが今回どうやってこっちの世界に来たか経緯は知らんが、
少なくとも倒れた原因は分かるその道のプロだからな。
原因はこっちの世界の魔力の力が少ないことによる魔力の枯渇だ。そこで俺はさっきの治療で魔力を少し譲渡したんだ。」
「?」
何言ってんだ・・・このロリ
「あぁ、その顔さては理解に至ってないな・・・完結に済ましてやろう。
エルフの嬢ちゃんは本人の意思など関係なくここの病院で俺が主治医として匿う。
理由は、こっちの世界に居る限り俺が魔力を与え続けないと死ぬからだ。」
魔力・・・突如として出てきた言葉についていくだけで必死だったが、それもそうだ。
どうやら、もうこの話に俺が出る幕は無い様だからだ。
一瞬この不思議な世界観でもしかしたら何か俺なんかでもできると思ってしまったが・・・関係ないn
フラッ・・・バタンッ!
「おい!?大丈夫か!!!」
先ほどの治療で回復したはずのエルフの少女が突如として倒れた
ぐぅ~
と、間抜けな音をたてながら
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