第14話

俺は今とても暗い場所にいる。なんだこの夢。


(ゆ、め…?夢って気づける夢って珍しいな…)


ていうかここどこなんだ。真っ暗ななかふわふわと水に浮いてるような感じがする。そして何か聞こえる。でもゴニョゴニョしてて何言ってるかわからない。


『…れ…おま、せ、で…!』


俺のこと言ってる?お前のせいで、みたいなこと言ってる?そんなことを考えてたらぱあっと目の前が明るくなる。チーンという音と共に俺の遺影が目に入る。


「俺の…そ、うしき…やっぱり俺は死んでたのか…」


ていうか俺は今どういう状況なんだ?もしかして幽霊!?意識だけ念力で飛ばしてるとか?でも別の世界なはずなのにどうやって…母さんが遺族側の席で泣いている姿を見て、胸が苦しくなる。でも葬式にあいつらの姿を見て俺の思考は怒りに打ち震える。


「零は、お前らのせいで死んだのに…よく葬式に来れたな…!」


母さんがすごい怒ってる。そんな俺のことを思ってくれてるのは恥ずかしいけど、そんな思ってくれてる中死んだ俺は馬鹿だ。


「なんで、僕たちのせいって言うんですか?」


「そうです!私たちは同級生である宮下くんを思って来てるだけなのに…!」


あいつらはこの後に及んで母さんの勘違いっていう体で決め込むらしい。むかつく…平気な顔して俺の葬式に来ることも、自分の罪を認めないことも。とりあえず、俺は持てる力全てを使ってこいつらを呪うことにした。別に俺に呪詛返しが起こっても構わない。


「俺の元幼馴染と俺を馬鹿にした彼女ともいえないような女に呪いを…!今後一生悶え苦しむような呪いを…!かけてやる!!」


俺が呪いをかけ終わると、例の2人は全身がガクガクと震えながら倒れてしまった。現場は混乱していたが、俺は呪いをかけることに成功したと思い母さんの方に飛んでいく。


「母さん、ごめんなさい。こんな親不孝な子供を一生懸命育ててくれてありがとう。あいつらには俺が持てる最大の力で呪いをかけておいたから安心して」


眠くなってきてそろそろ時間か、と思う。


「…零?いるの?」


謎に俺の気配を察知した母さんが、キョロキョロしだすが伝えたいことだけ伝えて消えたい。


「母さん、今までありがとう。俺、行くね。母さんも体に気をつけてね。本当にありがとう」


目の前が光に包まれて意識が遠のく。ハッと目を覚ますと男女比が1:9の世界の自室だった。俺の頬には涙が伝った跡。あいつらには多分呪いもかけられたし、母さんには言いたいことも言えたはずだから心の中はすっきりとしている。この世界では、母さんに迷惑をかけずに生きていけたらいいなと思ってる。

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