第13話

学校に通い始めて2週間たったある日の土曜の昼下がり。俺は5’s Hと相見まえたときのことを思い出して、これからのことを考えていた。


「この世界の女の子は肉食系女子しかいないのか!?なんで俺はこういう対象に選ばれるんだ!」


顔を見たって、モデルやアイドルのように整ってるわけでもない。かと言って過度にブサイクかって言われたらそうでもない気がする。それに身長だってかろうじて176 cmだから175 cm超えてて人権が貰えるくらいだ。体重も鍛えたりしてないからもやし故の67 kgだ。これで筋力があってシックスパックとかになってたらカッコ良かったかもしれない。それに今、抗うつ剤飲み始めて満腹感感じなくなってよく食べるようになったから体重が3 kg増えたし、良いことが何もない。


今でもまた前の時空に戻るんじゃないかって不安が過ぎる。もしかしたら今は自分が自殺してて夢にみてるだけの世界なんじゃないのかって思うこともしばしばだ。でも、あのキスしてたときの感覚はリアルだし、今だってこの手を握ったり開いたりしてみてもこれが夢だとは思えない。それくらい現実味のある世界だ。それに、男女比がおかしいことにようやく慣れてきたがまだ1:9で学校には俺しか男がいない現実が受け入れにくい。


女子制服はエロいし。同人誌とかでしか見たことないようなエロいレオタード制服っていうのはちょっと興奮するので、別にあれはあのままで問題ない。問題はそんなことよりも5’s Hをどう相手するかだ。今はキスをしてきてほしいって言ってるだけだけど、中出ししてほしいとか願ってきたらどうしたらいいんだ。俺は子供育てるときはちゃんと愛情持って育てるって決めてるからそんなほいほい中出しするような男になりたくはない。


なんかヤリチンって責任感なさそうだし。俺はちゃんとマナーとしてゴムをつける方が正しいと思ってる。性病にもなりにくいし。いくら相手に懇願されても、子供を育てる覚悟と財力がなければしたらダメだと思う。実際俺の母さんは女手一つで育ててくれたから大変さは身に染みてる。俺にはわからない苦労もあったと思うけど、大変なことは小さいときからわかってた。5’s Hたちは普通の子だと思うし、そんな辛い経験しなくて良いと思う。


でも、俺があえてこの5’s Hと仲違いするような理由もないし、キスとか断る理由もない。


「…てことは?誘われたら…ヤってもいいってこと?」


いや、それは飛びすぎか。いくらなんでも同級生で男1人だからって『私を食べて♡』みたいな展開はないと思う。


「…深く考えるのはやめよう。なるようになーれ」


そしてあったかい日差しを浴びながら、またうたた寝をするのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る