第12話

「おい、宮下!私とも勝負しやがれ!他のやつとは戦っといてあたしと戦わないなんて、酷いだろー!仲間外れにすんなよ!!」


「月島さんを仲間外れにしたくてしたわけじゃないんだけど…」


俺は今5’s Hの1人、月島穂美に突撃されていた。


「ともかく!!!勝負!しろよ!あたしも皆を陥落させたやつをやってみせろ!!」


5’s Hの他の4人とキスしてみてたしかに俺は相手全員に負け惜しみを言わせたが、向こうが勝手に言ってきたと言っても過言ではない。俺は交戦的な方じゃないし、俺はできるなら穏やかにこの世界で生活を送っていきたい。モテるっていうよりも、皆から平等に好かれるという方が幸せな気がする。でも目の前にいる月島穂美は言葉では動いてくれなさそうだった。もう放課後になってて帰るだけで、しかも階段にいたから俺はとりあえず踊り場に移動した。


「宮下!逃げようったってそうはいかないんだからな」


むすっとした表情でこちらを見つめてくる月島穂美に向き合う。


「俺は逃げないし、月島さんからも逃げないよ」


「お、急にやる気?いいじゃん、いいじゃん。そういうの」


別にやる気があるわけではないが、早く帰りたいだけだ。この世界の女の子はちょっと頭が足りてない子が多いのか、はたまた性に奔放的なだけなのか。格好も格好だし、性に奔放的な可能性はある。了承も得られたし、早く帰りたいから月島穂美にこちらから仕掛けることにする。身長が小さいから若干腰が痛いが、肩をがっしり掴んでホールドする。


「ん、ちゅ…っ、むぐ…」


少し抵抗してくる手に興奮する。月島穂美は本当に興味だけで俺に話しかけてきたようだった。今までこの世界でキスした4人の女の子なかでは肉厚な舌をねぶる。向こうは結構責め気で、舌を積極的に絡ませてくる。俺は細目で月島穂美を見ながら、唾液をねっとり含ませた舌で口内を弄ぶ。向こうの舌を相手しつつ、口蓋を舐めてみたり敏感な粘膜部分を舌でつつ、となぞる。


(スポーツ万能って聞いただけあって肺活量があるからなのか、全然へばらないな)


俺は舌が若干疲れたので、唇を離して一旦様子を見てみることにした。


「…は、あ、はぁ。宮下、いや零。あたしは零のことを認めるわ。今キスしてみて、お前となら良い試合ができるって確信したわ。満足した。あたし部活行かなきゃだし…またな!!」


そう言って鼻歌を歌いながら去っていった月島穂美は、部活に向かうらしい。いきなり名前呼びにジョブチェンジしたことも意味不明すぎて、ため息が口からこぼれ落ちるのだった。

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