第11話

抗うつ剤を飲むようになって、少しだけだけど気分の浮き沈みが減ったような気がする。そんな4月の後半、目の前には5’s Hの1人である本木陽菜と相対していた。俺は椅子に座ってて、本木陽菜もときひなは机の前に立っている。そんな状況下で勉強を続けようとして、話半分に会話しようと思っていた。


「宮下くんって、はるかちゃんとへレナちゃんと冬乃ちゃんともちゅーしたって聞いたよ。陽菜にもその3人をへなへなにしちゃった宮下くんのワザ、試してみてほしいな」


「えっと…自分の体は大事にしてほしいんだけど」


ふわふわした様子で俺に迫ってくる本木陽菜は、断りやすそうに見えて断りにくい。俺はこういうタイプが苦手だ。それに無理に体を差し出すような真似はしないでほしい。


「陽菜だって一応子供産みやすいピンクランクの5+もらってるんだよ!」


そうこの世界にはピンクランクというものがある。ピンクランクとは、子供を授かりやすく産みやすい女性のことを指し1-~5+までの10段階にランク分けさせられている。5+が一番子供を授かりやすく子供が産みやすい人で人口の5%程だと言われている。5’s Hはそのピンクランクも5+ということは最近噂になっていたから知っていた。


「それは知ってるけど…だから俺相手に迫らなくてもいいんじゃない?」


「好奇心には抗えないの!陽菜の相手もしてよ!」


なんでこんな俺の相手してほしいんだろう。ちょっと謎すぎる。押しが強いのも俺は断れないから5’s Hのなかでは本木陽菜が一番苦手かもしれない。


「じゃあ陽菜からちゅーする!」


そう言って顔を両手で押さえられ、キスをしてきた本木陽菜を避けられなかった。さすがに片手に参考書とシャーペンをそれぞれ持った状態では無理だった。なんで俺はこの世界ではこんなにモテる?んだろう。でもこのままやられっぱなしになるわけにはいかないので、本木陽菜に反応してやることにした。


「零ちゃんって呼んじゃお。零ちゃんって案外受け身なの?え、ちょっ…まっ」


机にシャーペンを置き、本木陽菜の顔を掴みキスし返す。体勢が誘い受けみたいになってしまったが、まぁ仕方ない。本人が良いと言ってるのだ、ガンガン攻めてやる。舌を使い歯列をなぞり、唇をちゅうっと吸う。誘ってきた本人はうぐうぐ言いながら俺の攻めを受けてる。苦しそうだけど、知ったことか。


「みぁしたく…っ、あ…んん、…も、いぃ」


もういいって言われたけど、辞めてやらない。俺に挑んてきておいて途中退場なんて許してやらない。舌をくちゅくちゅと絡ませて悦に浸る。ふと時計を見ると、授業が始まるまであと1分。どうりで教室中ざわざわしてるわけだ。へろへろになりかけている本木陽菜を解放する。


「あるぇ…なんれやめちゃうの…」


「だって授業始まっちゃうし、本木さんが言ってたことは体験できた?」


「できた…陽菜は初めての感覚を体験できたからいい…ってあ、授業始まっちゃうから戻るね!次こそ陽菜の方が上手って認めさせてやるんだからー!」


そういってチャイムと共に去っていった本木陽菜は嵐のようだった。この時ばかりは、初めて授業が始まることに感謝したのだった。

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