第7話
5’s Hの一角、中山晴果に男としての勝負を受けた。もちろん、俺は自分のこと男だと思ってるし、この勝負も負けられない。
「あら、結構やる気じゃなぃっ、…ん、ちゅ…ふ、あっ…ゃあ、」
全員どこか俺がほんとにキスするなんて思っても見なかったのだろう。想定通り中山晴果は暴れてきたし、この光景を見たクラスメイトからは黄色い悲鳴が上がる。
俺だって一応彼女持ちだったんだ。べろちゅーくらいしたことある。この世界じゃ簡単に百合展開になることないだろうし、したことない人の方が多いんだろう。実際、彼女にキスしてみたけど態度と異なって体は全くしたことないようなぎこちなさだった。
舌で舌をつつ、となぞり歯で柔く噛む。たまにじゅっと吸ってあげて相手から抵抗の声が虚しくなってきた時。中山晴果がガクッと腰を抜かした。
「あぇ、あたひ…なんで腰なんか抜けて…」
こんな俺の拙いテクで腰抜けるなんて、前の彼女では少なくともなかったし俺の中での高揚感と支配欲が混ざり合い心地良くなる。腰を抜かした彼女を机に座らせ、2回戦を開始した。彼女はいやいやと俺を押し返してきたが、そんなの軽い抵抗すぎてむしろ俺の神経を逆撫でするような材料にしかならない。腕を首に回すように動かし、俺は俺が動きやすいように姿勢を整える。そして中山晴果にキスし初めてしばらく。向こうが完全にキスにのってきたところで俺は体を離した。
「やめちゃやら…」
「はい、おしまい。俺がどんな男か吟味するんじゃなかったの?その様子見る限りじゃ俺は中山さんからしたら高評価?」
俺の首に巻きついた腕をそのままに、止めるなと駄々をこねる様子は周りからしたらただのカップルにしか見えない。けど、俺にはこの子に対する気持ちが一切ない。ふっかけられた勝負に乗っただけで、彼女ヅラしないでほしい。
「…ハッ。そ、そうだったわ。あ、あんたはまぁ及第点ってとこね」
「へぇそんなに腰もぬかして、へろへろになっといて及第点なんて…ちょっと理想が高いんじゃない?」
ニタァと笑いながらいうと、向こうは頭にきたのか顔をさらに赤くさせ怒ってきた。
「こんな皆の前で辱めることなかったじゃない!今回はあたしの完敗よ!馬鹿!」
いつも一緒にいる取り巻きとどっかに行った中山晴果に笑みを浮かべる。高校生で幼稚園児みたいなキスしかしないと思ったんだろうか。それこそ、最初からそっちの戦略負けである。俺は、キスしてなんて言おうものならすぐさまべろちゅーするつもりだったぞ。
「はぁ…つかれた」
さっきよりザワザワうるさいクラスで俺は、ゆっくりと目を閉じる。ああ、これまだあと4人も残ってんのかと思うと気が遠い。まぁなんとかなるだろ、そう思い次の授業の準備をするのだった。
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