第6話

この世界は男女比が1:9だ。その原因は、人類史上最も最悪のパンデミックだ。謎の奇病によって地球上の男性人口は瞬く間に減っていき、現在よりも少ない全人口の5 %まで減少し、およそ38億人の男が地球上から消えた。今でこそ全人口の10 %と言う数字になっているが、それでも人類の人口が女40億人、男4億人と言うことを考えると相当少ない数字だ。4億人なんてアメリカと日本足した人口くらいだろ。少なすぎる。


だからこそ、この世界の日本では一夫多妻制度が認められていて女性は18歳から妊娠、出産が可能だ。特別な場合を除いて一生で2人産むのが基本である。ちなみに、男を産むことができれば国から補助金がたんまり出るそう。今では母さんにあまり無理をさせずに済むのか、と安心できた点である。俺の家はもともとシングルマザーだったから、色々無理をさせてきたと思ってたし。


俺はそんな中、いろいろな生徒たまに先生からも獲物という目で狙われている。マジで病院で腹上死してなかったことが奇跡だと思う。知らない間に搾り取られすぎで死んでたかもしれないと思うと、ゾッとする。そんなこの世界における日本の男性人口は10位とまぁまぁだ。人口と同じように男の数もまぁまぁいる。


(なのになんで俺はこんな狙われるんだ…!?)


顔だっていいわけじゃない。性格は悪くはないと思うけど、そんなのまだクラスメイトはわからないと思う。それに、クラスで話したのは昨日話したクラス委員の子くらいだ。今日だってヒソヒソと俺をチラチラみながら何か会話してる子が目につく。


(確かにあいつを見返したいとは思ったけど、モテたいって思ったわけじゃない…!!)


果たしてこれをモテると定義して良いのかは謎だけど。気分が悪いわけではないから放置だ。男の絶対数が少ないから興味がわくのかもしれないけど、何だかなと思ってしまう。


ぼやーと自分の席ですごしていると目の前に人。確かこの子5’s Hの1人とか言ってた?子だよな。何度見てもまだ見慣れない制服を着こなした美人が自分が見下ろしている。この制服はレオタード制服っていうらしい。昨日家で私立清果学園のパンフレット見て覚えた。美人がバンと俺の机を手で叩きつけ、俺にずいっと迫る。


「あ、あの何か…」


「私、中山晴果なかやまはるか。あんたがどんな男なのか、あたしが吟味してやるわ。ねぇとりあえず…私と挨拶がてらキスでもしない?」


これは、俺がこの世界に試されている?…やってやろうじゃねーの。あいつらを見返すために転生したんだ。


(やり遂げてみせる…!!)


まだ俺の転生ライフは始まったばかりだ。限界まで楽しんでやる!とりあえず目の前の事を片付けることにし、俺は立ち上がり中山晴果の肩に手をかけた。

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