第5話

朝礼では、俺は全学年から注目の的だった。なぜならこの地域の高校で男子生徒がいる高校は3校で、内生徒は5人しかいないからだ。注目を集めたけど、大人数の前ということもあり、つつがなく朝礼は終わった。クラスは1学年5クラスの15クラスでこれでも多い方だそうだ。前の時、私立といえば10クラスくらい当たり前だったけど人数が半分くらいに減るんだから5クラスで当然っちゃ当然かと思った。


それに衝撃的なことをクラスから体育館の帰りにクラス委員の子から聞いた。このクラスは成績順だけではなく、いかに子供を産みやすいかも加味して決められているらしい。だからとても失礼だけど、そんな頭良さそうじゃない子も混ざってたのかななんて思ってしまった。それからさっきからずっと気になってた制服について、それとなく聞いてみた。そうしたら、この世界では孕むこと自体が徳であり、男の人から少しでも魅力的に見える格好が好ましいと言われた。でもやっぱりスク水みたいなエロ制服には慣れるのは時間がかかりそうだ。


あとクラス委員の子曰く、最初俺を囲んできたのは5’s Hフィフスエイチという5人組らしい。顔も子供の産みやすさも格別な5人組であり、名前の頭文字が皆Hであることから入学してすぐだがそういう名前がついたらしい。俺は、ますます漫画か何かの世界なんかなんじゃないかと思ってしまった。なんだ名前のつけられる5人組って思う。


「色々教えてくれてありがとう。俺こういうこと初めてだから、色々聞いちゃって答えるの大変だったよね」


「そんなことないよ、これがクラス委員の役目だから。気にしないで過ごして。先生からは入院してたってこと皆知ってるから、そんなに攻撃?したりしないと思うし」


え、今攻撃って言った?攻撃って何?俺撃ち落とされでもするの?いや、あれか性的な攻撃を受けたりするのか!?え、俺そんな対象になんの?え、え、え。頭が追いつかない。さっき言ってた5’s Hに囲まれたのはそれが原因だったのか。でも俺そんな顔良いわけでもないし、身長が高いわけでもない。実際、親友だと思ってたただのクズに彼女寝取られたし。俺がそんな好条件なわけがない。


「やっぱりなんで俺なんかが…」


小声で呟いた自分を卑下する言葉は誰にも聞かれずに、俺の学園生活は始まったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る