第4話

佐藤先生に連れられながら、俺はクラスまでの道のりを歩く。俺は成績的に一番良い1組に所属するそうだ。


「宮下くんは清華学園来るのが初めてだと聞きました」


「はい。お恥ずかしながら、ずっと入院生活を送っていまして…」


俺が聞いた入院理由は、俺が部屋でぶっ倒れてたから救急車で運んだけど3ヶ月も目を覚まさなかったらしい。ちなみに、男の幼馴染なんかもちろんいないし高校にも通ってなかったらしい。


「その話は聞きました。大変だったそうですね…けど、これからは楽しい学園生活を謳歌できると我々学園側が保証するので安心してください。あ、1組に着きましたよ。教室には私が合図したら入ってきてくださいね」


中で俺を紹介する声が聞こえる。締めにそれではどうぞーと言われ、なんだかすごい恥ずかしいが入室する。


(わ、女の子がいっぱいいる…しかも可愛い子ばっかり。ていうか制服どうなってるんだ!?なんかウエストの横のところは空いてるし…え?寒くないの?皆普通に着てるけどそういう世界線なの!?)


教室に入った途端、見たことのない制服に身を包む同級生たちを見てびっくりしてしまったが気を取り直す。エロ漫画とかで見るようなスク水制服だ、と思うけどとりあえず思考の片隅に置いておく。多分この世界では、前の普通はありえないんだろう。


「今日から皆さんと同じクラスに所属する宮下くんです」


「あ、宮下零です。入学は訳あって少し遅れましたが、仲良くしてくれると嬉しいです。これからよろしくお願いします」


ぱちぱちと歓迎され、俺は一番左角の後ろという窓際の席をゲットできた。さっき聞いた話によると俺は、この後行う朝礼で紹介されるらしい。先生は一時職員室に荷物を取りに行くための間に、クラスメイトと話す時間を設けてくれた。だが先生が教室を出てから、俺は窮地に立たされていた。


「あんたが宮下零ね、へー。意外とフツー?」


「えー晴果ちゃんそれはないよー。かっこいい方だと思うよー」


「陽奈ちゃんの言うとおりだと思う。宮下さんはカッコいいのでは」


「冬乃の言うとおりだと思う。ヘレナもそう思う」


「あたしはこいつと戦えれば何でもいい!」


「穂美ちゃんは黙ってて!!!」


女の子5人に囲まれて、顔の値踏みをされていた。怒涛の勢いである。5人揃いも揃って美少女だが、それぞれ趣の異なる美少女だった。1人は目鼻立ちがくっきりした強気で勝気な美人。1人は目がすごく大きく、他のパーツは小さくふわふわとした雰囲気の美少女。1人は目がスッと通ったアジアンビューティーと言わんばかりの美人。1人はおそらくハーフなのだろう、ロシア系の血が入っているであろう混血の西洋美人。1人は王道のぱっちり二重に他のパーツも大きめのハキハキした美少女。皆安定に変な制服着てた。


「宮下くん、これからうちらのことよろしくね」


リーダー?である1人にウインクされてよろしくされてしまった。絶対これよろしく♡みたいな意味でしょ!けど、せっかく仲良くしてくれようとしているんだから無碍にできない。


「は、はぁ…よろしく」


おかしいな。さっき大人しく生きようって誓ったはずなんだけどな…無理そうな気がして気が遠くなる。


(はぁ…空きれいだなぁ)


そんなことを考えないとやっていけないのだった。

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