第2話

「ここ、どこ…?」

オール翌日、私は知らない路地裏に迷い込んでいた。

頭が痛い。ガンガンする。視界も歪む。

高校生以来のオールは、やはり体に響くなぁ。

手元のスマホを頼りに路地を進むと、こじんまりとした小屋が見えた。

看板がかかっている。どうやらお店らしい。

『THE NIGHTMARE』

悪夢…?

看板の言葉と、外装の洋風のホラー感が好みだったのもあり、入ろうかと迷う。

今は…6時30分。始業まで、あと1時間30分。

たぶん大丈夫だろう。そもそも家にいると寝てしまいそうで、早く家をでただけだし。

私は戸を開けた。


ちりりん

ドアについていたらしい。ベルが鳴った。でも、だれも出てこない。

まだ、開いて無かったかな…

一抹の不安を抱えていると、突き当りのこげ茶色のカウンターに、茶色のベストに黒いマントを羽織った、細身のおじいさんが座っていた。

「あ、あの、こんにちは…」

「…よくないね。」

急に言われて、驚く。よくない?私が?もしかして何か失礼だったのかな。どうしよう、どうしよう…。

「お前さんには、どんな悪いものが見えているんだい?」

「わ、悪いもの?」

「ああ、この世界では悪夢と呼ばれるんだっけね。何か、見ているんだろう?悪いものを。」

悪夢…課長の夢のことかな。でも、こんな見ず知らずのおじいさんに…

「大丈夫だから、話してごらん。」

優しいおじいさんの声に、この人なら話してもいいのかも、と思った。

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