第8話 そのセリフ、「スベって」ない?
いきなり偉そうなことを申してすみません。
しかしWEB小説を書く人にとって、読み手にクスリと笑ってもらえる要素を入れ込むことは結構大事なことになるのではないでしょうか。
シリアスなシーンに一つまみ緊張がほぐれるお笑い要素を入れたり、とにかく最初からボケまくって読者を虜にしたり。
しかしこの「お笑い」というコンテンツに対して、日本人の目はかなーり厳しいものになっています。
テレビでは毎日お笑い番組がやっていますし、先日行われたM1グランプリも一大イベントになっています。
しかしお笑いに厳しい一方で、「それおもしろくないよ」と言ってもらえないのも日本人の性。
指摘されないからと言って調子に乗ると、ただただ滑り散らかすだけのおぞましいコンテンツが出来上がります。
そこでここはひとつ、人を笑わすための定石というものについて考えていきましょう。
(先に言っておきますが、あくまで私個人の考えなので面白くならなくてもクレームはご遠慮ください……)
本題に入りますが、人を笑わせる要素というのは大きく2つあるのではないかと思っています。
1つは勢いのあるボケ。一発ギャグなんかがこれに該当しますかね。
しかしこれはかなり難しいですし、リスクも伴います。
「消しカス大明神!」
と、勢いに任せていっては見たものの、これを読んでいる人にとっては「?」となるのではないでしょうか。
初めからお笑いを見に来ている人が一発ギャグを見せられたらそこそこ笑いは取れるものの、小説、いわゆる話の繋がりが大事なコンテンツを求めている人にとって、突飛なギャグを持ち込まれてもなかなか笑うのは難しいところがあります。
そこで多くの芸人さんが漫才で取り入れているのは「意外性」。
簡単に言うと普通の会話の中に意外性のあるボケを入れ込んでいく、という手法です。
いい感じの例が思いつかなかったので、先日行われたM1グランプリ、優勝された令和ロマンさんの優勝ネタを使ってみてみましょう。
まず冒頭、ボケのくるまさんが「もしタイムマシンができたならどっちがいい?」という所からネタが始まります。
普通この「どっち」という2択から予想される続きは「未来か、過去か」という2択になると思います。
しかしこれでは普通の会話であり、何の面白みもありません。
そんな中くるまさんが言い出したのは「現在に戻ってこられる方か、来られない方か」と予想外のことを言いだします。
当然「戻ってこられる方」が良いですよね。
「あたりまえだろ!」という受け手の感情に付随して「笑い」が生まれるのです。
またそれに続きくるまさんは、過去に戻ってみようという誘いを渋るツッコミのケムリさんに対し「やらない後悔より、やって大成功!」と当り前のことを言ってきます。
これも普通であれば「やらない後悔より、やって後悔!」になるのですが、それでは普通の会話になり面白みが無くなってしまうということですね。
他にもなんでも知っているはずの爺やが知ったかぶりをしていた、敵陣の武将が2.5次元俳優みたい、などさまざまな意外性を持たせたボケが登場します。
さすがにM1優勝漫才師の真似をいきなりはできないかもしれませんが、一度「普通の会話文」を作ってから「意外性を持たせたボケ」を入れ込んでいく、と考えれば少しハードルは低く見えてくるのではないのでしょうか。
お笑い、コメディの要素については、またどこかで研究してみたいと思います。
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