第40話

「ねぇ、修哉どうしてかやっぱり聞いていい?」


「何のことだ?」


「……一目ぼれしてもらうほど……魅力ないかなって……わっ!」


修哉が私の額を痛くない程度に小突くとふっと笑った。


「そんなことないよ。恋は魅力的だよ。俺からしたら早く自分のものにしないと誰かにとられやしないかこれでも内心ヒヤヒヤしてるからね」


「そう、なの……?」


「ああ。はやく俺に落ちてくれると助かるよ」


(~~~~っ、なんて言ったらいいかわかんない……)


私はそっと、つくねの串をクシ入れに入れると修哉が頼んでくれたお茶漬けを食べ始める。


隣の修哉は二杯目のビールを飲み干すと私の分と一緒に温かいお茶を注文した。


「そうだ、二週間後、先日オープンしたホテルオオヤマのオープニングパーティーがあるんだ。恋には俺の秘書として同行して欲しい。いいかな?」


「えっ、二週間後?! そんな華やかなとこ私……」


思わず私はお茶漬けをむせそうになった。修哉はすぐに私の背中に手を添える。添えられた背中の熱がお酒の力を混ざって全身を熱くしていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る