第24話
本格的に暑くなってきて、本格的にバテていた。
前までなら体を起こすこともできたのだが今はそれも難しく机に伏せっていることがおおくなっていた。
なんなら、もう指の一本も動かしたく無いくらいに机に伏せっていて、首とおでこと頭の上に保冷剤を乗せて過ごしていた。
一応冷たいと感じるものの暑いものは暑く気休め程度にしかなっていない。
「暑い」
「白翔〜、スポドリ買ってきたから飲みな〜!」
「めっちゃ、すっごく顔色悪っ!」
体を起こして、乗っけていた保冷剤がボトボトと机に落ちていく。
保冷剤は家から基本持ってくるが、もちろん一日は持たずに溶けてしまう。
だから、事情を話して保健室から借りている状態だった。
クラスの女子が買ってきてくれたスポーツドリンクを手にキャップを開けようとするも、もはやその力もないらしい。
仕方なく、クラスの女子に頼んで開けてもらいちびちびと飲む。
「冷たい」
口から冷たいスポーツドリンクが喉を伝い体の内側が少し涼しくなる。
だが、やはりあまり口にすると吐きそうになるので少し飲んできャッぷを締めてもらいまた、保冷剤を乗っけて机の上に伸びる。
「本当に大丈夫?日に日にやつれていってると言うか、やばくなってるよ?」
「大丈夫、何とかする」
夏休みまでまだまだ、日数はある。それなのに、今から保健室で休んだり学校休んだり、それこそサボりなんてしたら出席日数が危うい。
中学ではそうも考えなかったのだが、こうして周りと関係を持つようになってからは、一緒に進級したいと思えるようになってきた。
前まで、クラスメイトなんて鬱陶しくてたまらなかったのに。俺のことをありのままで見てくれるクラスメイトには救われているような気がした。
「おーい、追加の保冷剤持ってきたぞ!」
「お!ちょうど良い!そろそろ溶けそう」
クラスメイトが俺の上で素早く保冷剤を新しいものにすり替えてくれる。
あぁ、冷たくて気持ちいい。
でも、まだまだ暑くてそれは体の体力を持っていくには充分だった。
次の授業が終わったら昼休みか。それまでには、回復してないと。
先輩に電話のこともまだ謝っていないし、それに先輩と過ごす時間は楽しく過ごしたい。
体力がなくても先輩といれば不思議と疲れを感じず、話しているのに集中できる。何より、先輩の作ったお弁当なら口にできるので救われている部分もあるのだ。
チャイムがなりクラスメイトの心配の言葉を耳に手だけ振る。
最近、心配をすることされることを覚えた。
どうして、俺なんかに構ってくれるのかと一度だけクラスメイトに聞いたらみんな口を揃えてこう言っていた。
「心配だから」
それに対して初めは首を傾げたものの、クラスメイトたちが根気よく教えてくれた。
もしも、先輩が同じ状況だったらと想像してみてほしいと言われて想像したら、何やら胸の内のモヤモヤと焦りの感情が出てきた。
それを正直に伝えると、それが心配というものらしい。
なるほどと、納得した。だが、それは迷惑ではないのかと聞くと仲のいいクラスメイト達は揃って首を横に振った。
「あのなぁ、迷惑の前に俺らもう友達だろ?心配くらいさせろって」
「そうそう!心配はするけど元気になってほしいって気持ちもあるんだから!」
そう、勢いよく言われてそう言うものかと納得した。
だけど、不思議と先輩には心配も迷惑もかけたくないと思った。
だって、もしその感情を持ってしまったら先輩の笑顔がもう見れなくなるかもしれない。
ずっと、眉を下げてどこか泣きそうな顔のままかもしれない。
先輩には笑っていてほしいのだ。その笑顔に何度も救われている俺にとっては先輩が言うのにはそれが、俺の栄養なのだから。
そんなことを考えながら、クラスメイトが差し入れてくれたスポーツドリンクをちびちびと口にする。
これも、クラスメイトのおかげで教員に許可済みで授業内で人に迷惑をかけないなら飲んでも良いとも言われている。
恵まれているというのは、こう言うことを言うのだろうか。
俺には程遠い言葉だったのに今は周りにも恵まれていると思う。
それに対して俺は何も返せてないけど、ちゃんと「ありがとう」と口にしている。
今までの俺だったら本当にありえないことだ。
これも、全てきっかけを作ってくれたのは先輩だ。
だから、先輩には笑っていてほしいと強く思った。
それから、授業を何とか受けて昼休みを迎える。
先輩からは今日も教室まで来てくれると連絡をもらい済みだ。
少し、体力は回復したおかげで体が起こせる。
窓の外を見れば日差しが強くて目を細める。
あぁ、この暑さが嫌だ。
なんで、夏なんてあるのかと段々と胸内がふつふつと何か暑くなってきた。
いや、俺まで暑くなってどうするんだと首を横に振って深呼吸をしながら冷静になる。
再びスポーツドリンクを手にそれを飲む。先ほどまでの冷たさは無くなってしまったが、飲みやすくちびちびと飲んでいるがすでに半分は減っていた。
早く先輩が教室まで来ないかと内心ワクワクしながら窓の外を目を細めて眺めた。
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