第2話 出会い

四月上旬、僕は新しい高校に入学した。

自分の席の周りは知らない人だらけ。

みんな新しいクラスに馴染んでいて凄いなと思った。僕はあまりコミュニケーションが得意ではなく、小学校でも中学校でも友達が少なかった。

話しかけられたら必要最低限のことだけ話すような感じで、クラスでもいわゆる最下層の人間だった。

でも、そんな僕にも「友達になりたい」と思える人ができた。

勇気を出して声をかけようか、それとも相手から話しかけてもらうのを待つか。

そんな二つの考えしか出てこなかった。


ある日「自分のまわりの人と話してみよう」という特別な授業が始まった。

それはただまわりの人と話すだけで学習でも何でもない。

僕はこれが最初で最後のビッグチャンスだと思った。


「ね、ねぇ」


咄嗟に出た声は弱々しく、相手に聞こえているかもわからない。


「ん?」


相手が反応してくれたとき、嬉しくてたまらなかった。


「名前は?」

「…都筑香菜つづきかなだよ」

「あ、ありがとう」

「あなたの名前は?」

聞き返され、少し戸惑ってしまった。

「えっと…桃井朝日ももいあさひ…です」

自分の名前を言うことがあまりなかったため、声が震えてスムーズに言えなかった。

「じゃあ朝日ちゃん、これからよろしくね!」

「う、うん!」

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背の高い君に恋をした 三日月 陸 @tsumugitsumugi0720

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