第3章 第24話 予想外の反応

カルは、セツノがエレベーターを待っているのを少し離れた位置から静かに見守っていた。


エレベーターのドアが開くのを待ちながら、カルはセツノの行動に注視していたが、その時、予想外の出来事が起こる。


エレベーターのドアが開くと、そこには想像だにしない人物が立っていた。


「オェーイ⤴⤴⤴なんかテンション上がってきたからノリで降りて来たァ〜⤴⤴フゥー!!」



スイレンがドアから飛び出してきて、まるで子供のようにハイテンションで叫びながら登場した。



普段の冷静で計算高いスイレンからは到底想像できないような無邪気な振る舞いに、セツノもカルも驚きを隠せなかった。


セツノは目を丸くして、スイレンの変貌に一瞬驚く。


しかし、すぐにその異常なテンションを受け入れるように、表情を和らげた。「え、スイレン…?」


カルも同様に唖然としていた。「う、うそやろ…。まさかこんな…」


スイレンの言動はどこか不自然に思え、カルは不安を感じながら頭の中で考えを巡らせた。


「いや、でも確かにイェシ姉もいつも真面目なのに時々急にチョケる(ふざける)よな。まさか本当にスイレンの正体はイェシ姉なのか?」



その考えがカルの中を駆け巡る一方、スイレンはカルの気配に気づいたのか、突然に手を振りながら嬉しそうな表情で大きな声で言った。



「あれ?もしかしてカルじゃね?なんでこんなところにいんの?ウケる!」



カルの表情が一変する。



予想外の反応に、彼の心は一瞬凍りついた。「終わった…」


尾行作戦が完全に露見してしまったのだ。


スイレンが自分に気づいたことで、計画は完全に崩壊した。


カルは動揺しながらも、その場から逃げ出す暇もなく、スイレンが嬉しそうに駆け寄ってきた。


「え?いや、なんで魔法美少年モードの姿じゃないのに僕がカルだってわかったんだ!?」


カルは一瞬疑問に思ったが、その思考を続ける暇もなく、スイレンは勢いよくカルに抱きついてきた。


「やっぱカルじゃん!」と叫びながら、スイレンはカルに抱きつくと、カルの体を揺さぶり、もう一度抱きしめてきた。


「カル、好き〜!」


カルは一瞬、何が起こったのか理解できなかったが、その後、スイレンの無邪気な動きに振り回されながら、次第に自分が思った以上に計画が崩れたことを実感した。


「まさかこんな形で…」カルは頭を抱えそうになったが、スイレンの勢いに反論できず、ただその場に立ち尽くすしかなかった。

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