第3章 第23話 予期せぬ遭遇
セツノは訓練の疲れが蓄積してきたのか、思わず大きく息をつき、手を腰に当てて立ち止まった。
スイレンとの訓練は過酷で、特に力をコントロールする部分で消耗していた。
だが、気分転換も兼ねて、少し休憩を取ることにした。
「ちょっと休もうか。コンビニ行ってくるわ」
セツノはもう一人の自分に語りかけるように呟き、周囲を見渡した。
そして、ふと思い立ち、エレベーターへ向かった。
「買い物がてら、少しリフレッシュしよう。」
彼はエレベーターに乗り込み、下のフロアへと向かった。
途中で、ミェーンブロ(メンバー)たちからの要望を思い出し、どんなものを買うかを考えながら、目的地である1階のコンビニを目指す。
エレベーターのドアが開き、セツノは外に出た。
そのころ、カルは奇妙な偶然の巡り合わせで、セツノの姿を目にした。
カルは魔法美少年の姿を解除し、普通の兄ちゃんの姿になっていたため、セツノはそのまま彼に気づくことはなかった。
カルは少し離れた場所から、セツノがエレベーターで下に降りる姿を見ていた。
カルは以前セツノがスイレンに付き添っているのを見ていたため、カルもその一団がこのビルにいるのだろうと理解した。
「あの人は前スイレンと一緒にいた…」
カルは、そっと息を吐きながら、少しの間、セツノがコンビニに向かって歩いていくのを見守った。
カルの心の中で何かが動く。
これはただの偶然ではない。
スイレンがこのビルにいるのを確認したカルは、すぐさま東田に連絡を取った。
カルの連絡内容: 「スイレンとその仲間たちが、WTC(ワールドトレードセンター)にいます。スイレンと以前一緒にいた仲間と思わしき魔法美少年が、エレベーターで1階に降りてきました。」
カルは素早く自分の行動を決める。
目的はただ一つ、スイレンたちの行動を監視し、情報を得ることだ。
今、セツノがコンビニに向かっている間に、カルはひっそりとその後を追うことに決めた。
「ここで見失うわけにはいかない。」
カルは足音を殺し、セツノが買い物をしている姿を尾行し始める。
セツノは無邪気に、コンビニ内を歩き回りながら、チームメンバーの要望を聞いて商品を選んでいたが、背後に気配を感じることはなかった。
カルはその動きを慎重に追い続け、無理なく目立たないように、セツノの行動を観察していた。
一方、セツノは、まるで何事もなかったかのように、買い物を終え、再びエレベーターへと向かう。
次の目的地がどこなのか、何を考えているのかはわからないが、その足取りには少しの緊張も見せず、カルにとってはその無警戒さが逆に不気味に映った。
カルの心の中では、セツノの動きが一歩一歩確実にスイレンたちとの接触に繋がるものだと感じ、さらにその背後で何かを企んでいることを予感しつつ、足を進める。
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