第1章 「陳家道場の激突」
1. 襲撃開戦
ガツッ――!
ぶつかり合う拳と掌。床を踏み鳴らす足の震動が稽古場全体に伝わる。
「うおおおおっ!」
雄叫びを上げるのは、佐伯ライチ。彼は素早いフットワークで敵弟子の懐に潜り込み、突きを放つ。敵の脇腹にクリーンヒットした瞬間、回転しながら裏拳を顎へ叩き込む。
敵弟子は悲鳴すら出せず、へなへなと膝を折り、そこでダウンした。
「くそっ……こいつら、思った以上に強いぞ!」
周囲には陳家道場の門下生が十人、二十人とひしめき合う。あっという間に乱闘状態だ。
藤浪卓矢は長身から繰り出す蹴り技を得意とし、低い姿勢で飛び込む相手を的確に迎撃している。逆に春口幸奈は素早い動きと柔術を掛け合わせ、敵の腕を極めて地面に倒し込むなど、男女入り乱れる大乱戦となっていた。
「みんな、やられんなよ! 相手は数が多いが、所詮は混成軍団。コンビネーションも甘い!」
峯岸が弟子たちへ一喝。彼自身も正面に立ちふさがった二名ほどの拳を、紙一重で回避しながら、逆にカウンターの掌底を喉元に突き刺す。寸止めギリギリで制御しているあたり、熟練の技術を感じさせる。
「ゴフッ――」
倒れ込む敵を横目に、峯岸は玄虎を捕捉する。
道場の奥、師範席の近くから動かずにこちらを睨む玄虎。その鋭い眼光は、ただ者じゃない。だが、峯岸もまた並みの達人ではない。
「先生、玄虎は俺が行きます!」
佐伯がそう声を上げるが、峯岸は首を横に振る。
「お前は弟子どもを倒せ。あの男は俺が相手をする。……ただし、死ぬ気でかかれ、怯むな」
「はいっ!」
佐伯はすぐさま目の前の敵へ目線を戻す。集中力を研ぎ澄まし、一人ずつ制圧していく。
やがて弟子たちとの乱戦から一歩退いた峯岸は、師範席の方へ足を進め、玄虎と向き合う。
「陳 玄虎。あんた、なぜ神戸県に与してる? 昔、お前の家系は正当な中国拳法を伝えてたはずだ。それがどうしてこんな……」
「ハッ、何を言うかと思えば。俺たちは正当な拳法を存続させるために、神戸県の支援を受けているだけさ。資金援助は潤沢だし、道場の拡大も迅速に行える。おかげでここまで勢力を伸ばすことができたんだ」
玄虎は静かに語りつつ、まるで獲物を狙う虎のように低い姿勢へ移行する。その目は笑っているのか怒っているのか、底知れない狂気を感じさせる。
峯岸は息を吐き、「道場を大きくして、何がしたいんだ。まさか暴力で地方を支配しようってわけじゃあるまい」
「いや、支配は神戸県上層部の役目だろう。俺たちはそいつの片腕だ。あの組織に従えば強者が集う……俺は、最強の流派を作りたい。それだけだ」
「随分と単純な欲望だな」
「そうか? お前らみたいに義とか友情とかに囚われて時代に取り残されるより、よほど現実的だと思うがね。とにかく、ここを潰そうなんて考えた愚か者を、俺は許しちゃおけない。それだけの話さ!」
そこまで言った刹那、玄虎は地を蹴って一気に距離を詰める。凄まじい踏み込みからの連続突き。
峯岸も即座に構えを取り、胸元へ飛んできた拳を外側に逸らし、相手の腕に絡ませるように制しつつ、反撃の掌を放つが――。
「甘いぜ、じじい!」
玄虎は峯岸の掌を最小限の動きで避け、そのまま膝を食い込ませようとする。峯岸もギリギリで腰を捻り回避するが、玄虎の膝が彼の道着をかすめ、布がビリリと裂ける音がした。
「ふん……なるほど、なかなかやる」
峯岸はわずかに笑ってみせる。それを見て玄虎も不敵に唇を歪める。
乱戦の中、師範同士の激突が始まった。
2. 敵弟子との応酬
一方、弟子組のほうも苦戦を強いられていた。
三人 vs 大勢 という状況。だが佐伯、藤浪、春口は息を合わせ、連携技を織り交ぜながら少しずつ戦況を有利に運んでいく。
「卓矢、右、任せた!」
「了解!」
藤浪がすかさず右サイドから突っ込んでくる二人を片脚回し蹴りで牽制。その間に佐伯が左サイドへ移動し、相手の背後を取るように滑り込んだ。
そこで春口が柔術の投げ技で敵を前に放り投げると、丁度佐伯の拳のリーチに入り込み、そのまま顎先にアッパーが突き刺さる。
バキィッ……という嫌な音がして、一人が気を失う。それでもまだ十数人が襲いかかってくる。
しかし三人は余裕さえ見せ始めていた。
「なんか……思ったより統率されてないね。数は多いけどバラバラだよ!」
春口が苦笑しながら、相手の腕を取り、投げ、締めと、柔術の一連の動きを流れるように行う。
相手の顔が苦痛に歪むと、すぐに手刀で首筋を小突き、気絶させた。周囲には怒号と足音が鳴り響き、まるで夜店の喧嘩騒ぎのようだが、三人は確実に陳家の弟子たちを減らしていく。
「さっき玄虎さんが言ってたよ。あちこちの流派を金で釣って寄せ集めてるだけなんだろう。そりゃ連携は取れないさ!」
藤浪が敵の足払いを華麗にジャンプで避けて、逆に踵落としを叩き込む。ドガッ、という衝撃音とともに敵が床へ沈む。
「ったく、金のためにこんな悪事に加担するなんてバカすぎるぜ。まあ、こっちとしては倒しやすくて助かるけどな」
佐伯も余裕の笑みを浮かべ、敵の頬へ拳をぶち込み、反対側から襲い掛かる相手をバックハンドブローで迎撃。リズムよくコンビネーションを繋げる。
「これで……残りはあと数人か!」
三人は背中合わせになりながら、道場の床に倒れ込む敵たちを見下ろす。すでに半数以上が伸びてしまっている。
凄惨な乱戦ではあるが、妙にコメディタッチにも見えるほど、三人の呼吸は合っていた。
【過去回想:弟子たちの出会い】
ここで、敵が一瞬の間合いを測るように動きを止めた隙をついて――藤浪の脳裏に、かつての記憶がよぎる。
――2年前。地方の格闘イベントで、それぞれ別流派の若手として出場していた藤浪、佐伯、春口は、決勝トーナメントで互いに激突し、その後の打ち上げ会で意気投合した。
当時は峯岸師匠とはまだつながりがなかったが、それぞれ「より高い武の道を求めて流派の壁を超えたい」と思っていた。
そこに現れたのが峯岸光雲。彼は「俺が鍛え直してやる」と三人をスカウトし、現在に至る――。
あの頃は、まだ“神戸県”なんてものができるなど想像もしていなかった。だが、和気あいあいとした“武の交流”こそが彼らの理想だったはずだ。それを奪うかのような神戸県の存在が許せない。
「……だから、こんな連中なんかに負けてたまるかよ!」
藤浪は再び意識を現在に戻し、目前の敵に強烈な前蹴りを叩き込む。壁に叩きつけられた男が崩れ落ちると、最後に残った数名も恐れをなして後退を始めた。
「う、うわぁぁぁ……化け物かよ、こいつら……!」
道場生たちの士気は完全に消失し、次々に音を上げる。
「逃げたきゃ逃げろ。どのみちお前らに勝ち目はない!」
佐伯がそう叫ぶと、その言葉を合図に散り散りに逃げ出していく者が多い。
かくして弟子同士の乱戦はほぼ勝負あり、あとは師範対決の行方を見守るばかり……。
3. 師範対決の深淵
道場の中央で対峙する峯岸と玄虎。両者とも複数の打撃を交わしては反撃し合い、まるで龍虎相打つ猛攻を見せていた。
ゴッ、ゴッ、と肉を打つ音、道場の床がきしむ音。周囲が徐々に瓦礫や割れた木刀で散乱していくのを見るに、その衝撃の凄まじさがうかがえる。
「フッ……さすがだな、峯岸光雲。だが、そろそろ見せてやろうか。神戸県からの支援で手に入れた、最新の“武器”を……」
玄虎は言うなり、懐から小型の筒状の装置を取り出す。瞬時に展開し、電極のような先端がビリビリと放電を始めるではないか。
「スタンロッド……! 武術家がそんなもん使うか?」
峯岸は思わず眉をひそめる。本来の拳法家なら武器を好まないはず。だが、玄虎は平然と構えて笑う。
「勝てば官軍さ。俺は最強を目指すと決めたんだ。さあ、喰らいな!」
バチバチと電流をほとばしらせながら玄虎が突撃してくる。峯岸は即座に横へ飛びのき――が、玄虎はその動きを読んでいたかのように、すかさず逆側の手で拳を狙ってくる。
「甘いわ!」
峯岸はギリギリで肘打ちを使い、その拳を逸らすと、電流のロッドに対しては背中を捻ってかわす。
瞬間的に玄虎の身体がわずかに崩れたところを見逃さず、峯岸がカウンターの正拳突きを腹部に打ち込んだ。
ドシュッ……!
効いた。玄虎が体を二つに折りかけ、悶絶の息を吐く。しかし――。
「調子に乗るなあぁぁっ!」
玄虎は一瞬で体勢を戻し、スタンロッドを大きく振りかぶってさらに突き出す。ビリッという音が峯岸の耳元に響き、袖にかすった電流がピリリと痛みを走らせた。
「ぐっ……!」
「先生っ!」
「大丈夫ですか!?」
佐伯と春口が駆け寄ろうとするが、「来るな!」と峯岸は鋭く制止する。
「これは俺の戦いだ。弟子の前で醜態をさらすわけにはいかん!」
そう言い放つ峯岸の背には汗が滲(にじ)んでいる。しかし、その目はまだ負けを認めていない。
玄虎も腹部を押さえつつ苦しそうに息を整えているが、その眼光は衰えていない。
「うっ……うふふ……さすがだよ、お前。気に入った。もし今からでも神戸県に従うなら、俺が口添えしてやってもいいぜ?」
峯岸は呆れたように鼻で笑う。
「冗談じゃない。てめえらみたいな……いや、神戸県なんぞに屈するわけがねえだろう」
「そうか、なら仕方ない。お前の実力……次で止めを刺す!」
そう言った玄虎の表情に一瞬影が差す。まるで何かを思い出すかのように……。
【敵・玄虎の過去回想】
——かつて彼は貧しかった。真面目に家伝の拳法を守り継ぎ、汗水流して道場を営んでいたが、経済的に困窮し、さらに他の流派からの圧力にも耐え切れず、破門寸前。
そこに手を差し伸べたのが、神戸県を影で操る巨大組織の一員だった。 「俺たちに協力すれば、道場を守れるぞ」 そう甘い言葉を囁かれ、拳法を歪めることになると分かりつつも彼は契約を結んだのだ。
「そうだ……俺は絶対に二度と、飢えや屈辱を味わわない。俺の弟子にも同じ思いはさせない。だからここで勝つ……ッ!」
回想がフラッシュバックする。玄虎は唇をかみしめ、復讐にも似た執念の炎を燃やす。
だが、同時に彼の瞳には微かな揺らぎがあった。恐らく彼自身も、武術を金や暴力のために使うのは、本意ではなかったのだろう。しかしもう引き返せない。
「貴様ら、道場やぶりごときが……この陳家道場の誇りを踏みにじるなど断じて許さん!」
最後の咆哮が道場中に響き渡る。膠着状態を破るべく、玄虎は再びスタンロッドを構えた。
「……先生」
弟子たちも心配そうに見守る。峯岸はスッと息を吸うと、金剛力士のような構えをとる。
「行くぞ。お前の誇り、見せてみろ」
次の瞬間、二人は互いの間合いを一気に詰め、拳とロッドが激突する。閃光が走り、道場の木床が砕け散るような凄まじい衝撃。
「ガアァァッ!」
「ウオォォッ!」
そんな両者の雄叫びを合図に、これまでにない激烈な交錯が始まった――。
4. 戦いの決着と陳家道場の行方
派手な打撃音が続く。
スタンロッドから迸る電流が峯岸の腕や体を何度か掠め、焦げたような匂いと共に痛みが走るが、それでも彼は怯まず拳を繰り出す。
やがて互いの体力が限界を超え始めた頃、誰もが決着の瞬間を感じ取った。
玄虎が再び突撃。峯岸は一見、防御の構えを取っているように見えた。
しかし、玄虎がスタンロッドを突き出したその瞬間、峯岸は体をぐるりと回転させながら腕を玄虎の胴体へ回し、投げの形へ持ち込んだ。
「甘いんだよ、玄虎ァッ!」
ドガシャァァァン――!
勢いよく床に叩きつけられた玄虎は、スタンロッドを手放し、意識が一瞬遠のく。そして峯岸はすかさずそのスタンロッドを蹴飛ばして遠ざけた。
「くっ……」
玄虎がのたうち回りながら何とか立ち上がろうとするが、もう足元がおぼつかない。
峯岸は大きく息を吐き、掌底をもう一度玄虎の胸に当てる。寸止めだ。
勝負はここで決まったも同然――。
「玄虎。お前は強かった。だが、歪んだ力に頼ったのが運の尽きだ」
峯岸の言葉に、玄虎は悔しそうに目を伏せる。師範席の周囲には倒れた弟子たちが転がっている。
それを見届けた佐伯たちは、安堵の表情を浮かべて肩を落とす。自分たちの師匠が勝った。ひとまず陳家道場は崩壊だ。
「ほ、本当に勝ったのか……」
「先生、すげえ……!」
佐伯たちが駆け寄ろうとした矢先、玄虎が最後の力を振り絞り、小声でつぶやく。
「峯岸光雲……お前は……あの“神戸県道場塔”の存在を……どこまで知ってる……?」
「……何?」
峯岸は怪訝そうに聞き返す。
玄虎は口元に苦笑を浮かべながら、倒れ込む寸前の姿勢で言葉を続ける。
「ここを潰したところで……連中は……本命の“道場塔”を拠点に……全関西を支配する計画を……進めてるんだ……もう間もなく、始動する……」
「神戸県道場塔……?」
「フッ……お前の憎き“神戸県”とやらの本丸だよ……その塔で、強者どもが血を欲しがってる。いつまでもコソコソしていられると思うな……ガハッ!」
ボタリと血を吐いて意識を失う玄虎。峯岸は眉をひそめた。
「この男、神戸県の最深部にもっととんでもない施設があると言っていたようだな。道場塔……か。」
5. 師匠の決意・弟子たちの反応
弟子の一人、春口が怯えたように言う。
「神戸県道場塔……それって何ですかね? 聞いたこともないですけど……」
「分からん。だが“塔”と来たら、どうせ奴らが最強を集めるために建てた施設だろう。そこを制圧すれば、神戸県を根元から崩せるかもしれない」
峯岸は陳家道場の崩れかけた柱に手をつきながら、乱戦でできた傷を舐めるように服の袖で拭う。
「いいか、お前たち。俺たちの最終目標は神戸県を倒すことだ。こいつらは大阪府を呑み込んだだけで満足せず、さらにその先へ勢力を伸ばすかもしれない。絶対に止めなきゃならん」
佐伯は拳を握りしめた。
「はい、先生。……でもその前に、道場塔って場所を探らないとね。玄虎さんみたいに複数の道場が連合してる可能性もあるし」
「そうだ。まずは情報収集だな。連中が使ってる武器や装備がどこから来てるのか、資金源は何なのか……色々突き止めよう。その途中で、また“道場やぶり”をしていくことになるだろうがな!」
峯岸はボソッとつぶやき、にやりと笑う。妙な殺気とユーモアが同居した、その表情を見て三人は苦笑いしながらも頷く。
もう後戻りはできない。自分たちは“道場やぶり”の徒となって、神戸県への抵抗を続けるのだ。
6. 新たな旅立ちと伏線
佐伯がふと陳家道場の隅に目をやると、大きな家紋の入った掛け軸が破り捨てられているのが見えた。そこには見覚えのない紋章が描かれており、下に小さく「K.O.B.E」の文字が……。
「……これ、何かの伏線かな」
「どうした、佐伯?」
「いえ、なんか変な文字が書いてあって……。K.O.B.Eって英語ですよね?」
「さあな。ただのローマ字かもしれんし、神戸県を表すイニシャルなのかもしれん。あるいは……別の意味があるかもな」
峯岸が掛け軸を手に取った瞬間、ふいに布の裏から何かの地図らしき紙がこぼれ落ちる。しかし血と埃にまみれていて、ほとんど判別できない。
「これは……。確かに塔のようなイラストがあるが……読み取れん。しかし何か重要な場所を示していそうだな」
そこに描かれていたのは、荒々しい線で示された巨大な塔のシルエット。その上にはおどろおどろしい筆跡で「道場塔」と書かれている。
佐伯や藤浪、春口が顔を寄せ合って見つめるが、詳細はわからない。玄虎が自ら隠していたのかもしれないし、あるいは神戸県から与えられた情報かもしれない。いずれにせよ、これからの行動に役立ちそうだ。
「とりあえず確保しておこう。……行くぞ、ここにはもう用はない。お前たちは怪我した奴を適当に外へ出しておいてやれ。死なない程度にケアしとくんだぞ」
「はい、先生」
弟子たちは相互扶助を忘れない。それも峯岸の教えのひとつだった。いくら敵とはいえ、トドメを刺さず、必要最低限の治療をして立ち去る。それが“真の道場やぶり”――己の技を試す場であって、殺戮ではない。
かくして彼らは、“陳家道場”を事実上壊滅へと追い込み、次の目的地へ旅立つ。
復讐と正義の入り混じった“道場やぶり”の旅は、始まったばかりだ。そこに笑いも交えながら、さらなる強敵や組織の陰謀が待ち受けるだろう。
…どこか神戸市内の超高層ビルの一室。
スーツ姿の男が数人、モニターを見つめている。そのうちの一人――恰幅のいい中年男性が、鼻歌まじりにタブレットを操作していた。
「どうやら陳家道場が潰されたようです、主任」
「ふーん。そりゃ残念だねえ。せっかく試作のスタンロッドを配備してやったんだけど?」
主任と呼ばれた男は、口元を上品に歪める。モニターには先ほどの陳家道場での乱闘映像が断続的に映し出されていた。どうやって撮影していたかは不明だが、少なくともこの組織は関西各地に強固な監視網を持っているらしい。
「奴らの狙いは、神戸県そのものですか? となれば、我々の“道場塔”計画にも何らかの影響が及びそうですが」
「そうだなあ。ちょっと面倒な虫が湧いてきたものだ。……しかし、この程度ならばすぐに排除できるだろう。『彼』が動けば、一網打尽だ」
主任が言う「彼」とは誰なのか。そしてこの組織が本当の黒幕なのか――多くの謎を孕(はら)んだまま、笑みを浮かべる主任の姿。
視線の先には、神戸の夜景と、中央にそびえ立つ巨大な建造物のシルエット。まだ工事中のようにも見えるが、その名を知る人は少ない。それこそが、真の「神戸県道場塔」――。
「フフフ……完成まで、あとわずか。さあ、俺たちの計画が始まるぞ……」
画面が闇に閉ざされる。主人公たちには知る由もない、さらなる恐怖と陰謀が、ゆっくりと動き始めていた。
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