NTRゲーの主人公だったことに気がついたので、ビッチヒロイン共から逃げ出したら、実は女の子だった桃太郎と出会って伝奇バトルすることになった件

園業公起

第1話 Numen Thrive Regalia

 最近イケメンがこの大都会岡山市の大岡山学園に転校してきた。


池面いけめん|・Handsome・美虎斗です。Congratulations!」


 アングロサクソン系アメリカ人と日本人のハーフ筆者は嫌いな言葉らしい。金髪碧眼のかっこいい男の子だった。その上スポーツ万能で勉強もパーフェクト。苦手なのは女の子の涙だけらしい。あっと言う間に全校生徒の人気者になった。女の子たちなんかもメロメロだった。でも僕みたいなラノベを読んでニチャニチャしているキモオタには関係ないのでスルーしていた。だけど。



生徒会長で文武両道な僕の憧れの先輩!

左衛門三郎麗羽れいは先輩



幼馴染で毎日起こしてくれてご飯作ってくれてお弁当作ってくれて夜ごはんも一緒に食べてくれる可愛い僕の友達!

勘解由小路萌音もね



一匹狼でヤンキーだけど正義の心を見失わないオタクに優しいギャルで僕のオタ活仲間!

正親町三条炉彌奈ろみな



あざといけど頑張り屋さんで可愛いくて悪戯好きな小悪魔後輩!

阿布都乃比流花音るかのん




僕の数少ない女の子の知り合いたちも池面くんと仲良くなり始めていたんだ。僕はそれを見てコンプレックスを覚えたんだ。そしてある日のことだった。放課後に教室に忘れ物をしたことに気がついて深夜に戻った時だった。池面くんが深夜の学校の屋上になぜか立っていた。僕は不審に思って屋上前のドアまで行って屋上を覗き込んだ。


「このままだと悲惨な未来にまっしぐらだ。だから仕方ないんだ。俺が彼女たちを主人公からNTR!それが転生者である俺の役目なんだ」


 悲壮な覚悟を決めた顔で俯きながら屋上のフェンスを掴む池面くん。


「レイハ、モネ、ロミナ、ルカノン。待っていてくれ。あの役立たずで前髪がやたらと長い主人公からNTRってNTRゲー特有の陰惨で悲惨な運命から絶対に救って見せるから…」


 やたらと前髪が長い?その時はっと気がついた。幼馴染の萌音からもらったハンドミラーで自分の顔を見る。そこには前髪が顔の半分くらいを隠している僕の顔が見えた。つまり…僕が主人公…?!しかもNTRゲー?!そ、そんなぁ?!僕は絶望した。忘れ物を忘れて家に帰った。


「もう!何処に行ってたの!こんな夜遅くで歩くなんて不良だよ不良!ぷんぷん!」


 ピンク色の髪の毛に紫色の瞳の萌音がプンプンとわざとらしく怒っていた。今更気がついた。ピンク色の髪の毛とかあり得ないよね!?


「まったくだな。生徒会庶務見習いとして品行方正に学生生活を送って欲しいものだ」


 麗羽先輩が今のソファーでくつろいでいた。彼女の容姿を見る。銀髪に灰色の瞳のクールな外見。これもちょっとおかしくないかな?!


「べつにいいじゃねえかよ会長さんようぅ。男ならちょっとくらいワルじゃなきゃいけねぇぜ!オレはそう思うぜ!」


 俺っ子きた!だがここで問題発生だ。普通ギャルとかヤンキー系女子は金髪だ。染めてそうなるはずだ。だけど炉彌奈はオレンジ色の髪にオレンジ色の瞳だった。なんか微妙に違う!


「それよりせんぱいぃここ教えてくださいよぅ!会長とか教えるの下手すぎて全然わかんないんですぅ!」


 流花音。この子はマシっぽい。すごく明るい茶髪だけど。それはまあ普通。でも目の色が金色だった。キラキラしてる。強そう。









ああ。まちがいない。





この子たちはヒロインなんだ…。






そして僕は主人公。ただしNTRゲーの…。




そして池面くんは最近流行りのエロゲーに転生して俺何かやっちゃいましたか?おかしいっていうのはハーレムしすぎってことだよな?I am EROGE hero♡して情けないクズカスごみ主人公からヒロインを正義のNTRをやる転生主人公!




お、終った…もうおしまいだぁ!




ち、ちくしょうぅううううううう。






















「ちょ?!先輩なんで泣いてるんですか?!何処かいたい所でもあるんですか?」


 ルカノンが俺の頬を撫でてくる。だけどこいつはNTRゲーのヒロイン。種付けおじさんに媚びを売り、体育教師に腰振りを仕込まれるビッチなんだ!


「さわるなビッチ!」


 俺はルカノンの手を払う。そして。


「お前ら全員俺の家から出てけー!」


 俺はそう叫ぶ。ヒロインたちは互いに顔を見合わせて心配そうな顔になる。だけど騙されたりしない。そもそもこの家に巣くっている時点でビッチ特有の男の財布を狙う仕草満々じゃないか!


「ね、ねえとりあえず落ち着こうよ」


「うるせーびちびちびっち!BSS!BSS!BSS!俺にはNTRの素質はないんだよ!くそ!ち、ちくしょうぅぅ」


 俺は冷蔵庫から練乳のチューブを取り出して来てヒロイン共にぶっかけまくる。


「ちょ!?なにすんだよ!」


 ロミナが吠えるが知ったことじゃない。


「うるせぇ!お前らビッチが大好きな契水じゃぼけぇえええええ!ビッチ退散!ビッチ退散!ビッチ退散!」


「落ち着きたまえ!なにがあった!ちゃんと聞かせてくれないとわからない!苦しんでいるんだろう!なら話してくれ!」


 レイハが大人の女ぶって俺に近づいてくるが、こいつはソーセージならなんでもいいんだ!そうに決まってる!


「うるさい!俺は処女厨になるって決めたんだ!お前全員追放!この家にいる資格なし!」


「え?あたしまだ処女なんだけど」


「わたしもそうだが」


「オレも」


「わたしもです」


「自己申告ならいくらでも言えるわぼけぇ!もういい!こんなビッチしかいない家になんていられない!俺は出ていく!さようなら!」


 俺は財布だけもって家から飛び出す。そして夜の闇の中を駆けた。





























 息が苦しい。それでもビッチに追いつかれるわけにはいかない。追いつかれて待っているのは、「はじめてじゃなくてごめんねぇ」とかいうそれ言われてどうしろと?という誰も得しない虚しい一言だけである。ビッチは嫌いだ。股が緩いのは頭が緩いからそうなるのだ。だからデリカシーがない。あの四人も俺の家に気がついたら居ついていたわけだけど、それって俺が都合のいい男だったからだよね。人の生活空間を犯してきたわけだ。そのくせヤラせてくれるわけでもない。俺はまだ童貞である。


「うわぁあああああああ!脳が毀れるうぅぅぅぅ!ひゃっはー!!!」


 俺は気がついたら自転車に乗っていた。そしてなぜか岡山市環状高速道路の上を走っていた。さすがNTRゲーの世界だ。設定がガバガバだから自転車で高速に乗れちまった。さてこれからどこへ行こうか…。そんな時だ。


「大岡山学園周辺の結界からわざわざ抜け出てきたのか。あの女どもの目がない今こそチャンスだな!」


 僕の目の前がいきなり大爆発した。慌ててブレーキをかけて止まる。そして空からいかにも吸血鬼っぽいタキシード着たイケメンが降りてきた。


「さあ渡してもらおうか。君のもつN・T・Rを」


「はぁ?!なんですかー!?ふざけんなよお前!俺がNTRボーイだってなんで知ってんだよド畜生が!」


「くくく。この世界の誰もが知っているさ。君があの日N・T・Rを世界より簒奪して霊長の王となった。だがねそれに大人しくしているつもりはないんだよ。我々もまたN・T・Rを手に入れれば王になれる」


「は!何言ってんだよ。いやマジで何言ってるの?NTRされてる奴とか王にふさわしくないでしょ。あ、でもアーサー王とかはNTRだったな」


「そう。かのアーサー王もまたN・T・Rに選ばれしものだった。まあその末路は悲惨だったがね。私は同じ轍を踏まない。だから君のもつN・T・Rを渡し給え」


 吸血鬼っぽい奴はマントをばっと広げる。そして気がついたら辺り一面が霧に包まれていた。


「スモークを高速で出すとかマジで迷惑なんだけど!…って。あれ?」


 気がついたら俺の胸に大穴が空いていた。そして俺は膝から崩れ落ちる。なんだこれ?え?NTRから逃げ出したのにNTRがほしいとかいう変態に絡まれて俺死ぬの?


「さてあとは君の身体からNTRを分離すればそれで終わりだ。そして私がこの星の王となるのだ!ふは、ふはははははは!」


 吸血鬼っぽいおっさんが近づいてくる。でもだんだんと俺の視界は暗く狭くなっていく。もうここで終わる。
















我が王に手を出すことは許さない!!


























高速道路の側面の壁から見えるビルの屋上にある桃太郎の銅像がぴかーと光りだしてそこから何かが俺たちの方へとすごい勢いで降ってくる。



「はぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 それは余りに鋭く、そして美しい一閃だった。吸血鬼もどきが伸ばしていた両腕を切り裂いた。


「ぐぁああ!な、なんだ?!」


 黒曜石のようなしっとりとした艶やかな黒い髪の毛が風に舞っている。突然現れた女は軽装の和風の具足を纏っていた。だけど鎧の下はレオタードだし、ニーソックスでなんかデルタゾーン系絶対領域してる。イラストレーターさんのフェチズムを感じるデザインだ。


「大丈夫ですか。殿」


 女は赤い瞳で俺を見詰めている。そして御腰につけていた謎の袋から謎い団子を取り出して俺の口に放り込む。普通に美味かった。


「よかった。致命傷にはなっていなかったのですね」


 そして女は太刀を吸血鬼っぽい奴に向ける。


「これ以上は日の本一の侍!この桃太郎が相手になるぞ!」


「なに?桃太郎だと?!ばかなそんな大英雄を現世に召喚できるわけが」


「N・T・Rを得たものに不可能はありません。さあどうしますか。今夜だけは見逃してあげましょう」


「くっ!わたしはあきらめない!」


 吸血鬼っぽい奴は霧になって消え去った。


「殿。事態は収拾されたようですね。御無事で何より。わたくしの召喚が間に合ったのは流石の一言です」


「桃太郎が女の子?」


「はい。生前は男性と偽って鬼退治を行いましたから」


「…伝奇ゲーの世界と接続したぁ?!クロスオーバーってやつか?!ひゃぁああああああああ!!」


 どういう経緯なのかエロゲーにありそうなつよつよヒロインが俺のことを無条件でご主人様と肯定してくれるようになったぞ!でも桃太郎が女の子ってところにアーサー王が女の子並みのソシャゲっぽい現代っ子の感性をかんじるZe!この先の混沌に俺はめまいを隠せないのだった。






次回予告!



桃太郎が女の子!つまりお尻が桃みたいってこと!だが甲冑を脱いだ桃太郎のおっぱいはメロンだった。

それはおいておいて俺はビッチ共に追いつかれないように大都会岡山の闇に紛れることにする。

そしてまたも俺からNTRを奪おうとする刺客が現れる!


なぜNTRゲーの世界に伝奇要素があるのか…?

その謎を解き明かすために俺は池面の部屋のクローゼットに隠れることにしたのであった。



次回


『霊長大戦』

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NTRゲーの主人公だったことに気がついたので、ビッチヒロイン共から逃げ出したら、実は女の子だった桃太郎と出会って伝奇バトルすることになった件 園業公起 @muteki_succubus

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