オオカミの呪い
影守 燈
第一章 呪いの夜に
第一話 闇夜の呪い
昔、ある小さな村に領主が住んでいた。その領主は、誰もが恐れ敬う存在であり、どんなに遠くの土地からでもその名を聞けば、人々はその圧倒的な力に震えた。しかし、領主がまだ若い頃、この村で一番恐れられていたものがあった。それは、伝承に残された恐ろしい物語だった。
「夜遅くまで起きている者には、必ず災いが訪れる」
村の老人たちが繰り返し語り継ぐその言葉には、深い意味が込められていた。だが、誰もその真相を知ろうとはしなかった。なぜなら、伝承が語る「災い」は、ただの噂話ではなく、実際に恐ろしい出来事が繰り返し起こったからだ。
ある冬の夜、領主はその伝承を信じることなく、深夜まで起きていた。そして、村の外れにある森から、突然、叫び声が響いた。それは、村で最も信頼されていた家族の一員が、恐ろしいオオカミの群れに食い殺されたという、血生臭い出来事だった。その恐怖は瞬く間に村に広まり、誰もが伝承の言葉を信じるようになった。
それから数世代が経ち、その土地に住む者たちは、暗くなる前に家に入ることを習慣としていた。しかし、領主が死んだ後、彼の子孫はその伝承を忘れ、夜遅くまで村を歩く者たちも増えていった。
主人公の響は、そんな伝承を聞きながら育った者の一人だった。だが、子ども心にその話はただの昔話だと思い込んでいた。ある晩、遅くまで調べ物をしていた主人公は、ふとその伝承を思い出し、実際にそれが本当かどうかを確かめようと思い立つ。
「ただの言い伝えだろう。」と、軽く考えていた主人公。しかし、その夜、家族が寝静まった後、気になることを調べようと、主人公は意を決して夜遅くまで起きていた。
翌朝、響が目を覚ますと、信じられないことが起こっていた。最も大切に思っていた母親が、無惨な姿で発見されたのだ。遅くまで起きていたことで災いが降りかかったのだと、主人公は悔やんだ。自分の行動が、母を死に至らしめてしまったと自責の念に駆られた。
その夜、絶望の中で響は命を絶とうとするが、死の淵に立ったその瞬間、目を閉じた後、目を開けると──目の前には見覚えのある風景が広がっていた。それは、何もかもが異なる時代、伝承が始まるよりもずっと前の世界だった。
この世界に戻ることができた理由を響は理解していなかった。しかし、これが自分に与えられた試練だと感じる。彼女は、今度こそ伝承の謎を解き、母の死を無駄にしないように、そして自らの運命を変えるために立ち向かう決意を固めたのだった。
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オオカミの呪い 影守 燈 @m-k_21
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