2話 本
「——俺は、ミステリーハウスを経営している時に、ある客の話が気になったんだ。どうやら、お前たちがいる街のどこかに、あの忌々しい本の続き——二冊が隠されているらしい。特に、ディッパー。グラビティーフォールズでずっと持っていた本だよ。このことは、絶対に他の人には言うな。約束だぞ——スタンリー・スタンフォードより」
「…………」
あまりに衝撃的な内容で、数分その場で固まってしまっていた。
「あの本って……グラビティーフォールズの謎がいっぱい書いてあった、あの本?」
メイベルはぽかんとした表情で僕に言う。
「きっとそうだよ!去年は、三冊あったんだ。一冊目はおじさんが。二冊目はフォードおじさんが。そして、三冊目が僕だったんだ」
「ほえー、その本が二冊この町のどこかにあるってこと?」
「そう書いてあるね。よし、それなら今すぐにでも探しに行こう!」
「ちょ、ちょっと待ってよディッパー」
本を探しに行こうとする僕を、呼び止めるメイベル。
「なんだよ。メイベルも来るだろ?」
「そうだけど……本当に、この町にあるのかなって思って」
「……確かに、確定ではないよね。でも、近くの図書館に行ってみるだけ行こう」
「あ、うん」
僕はさっさと朝食を食べるため一階へと降りて行った。
トーブル図書館。
ここが、僕の家から近い図書館だ。
「……ちゃんと中に来るのは初めてだ」
そこまで本を読む習慣がないため、あまり来たことはない。
グラビティーフォールズでは、謎を解明するためにあの本を読んでいただけなんだ。自ら参考書なんかはあまり手にしない。
「ねぇ、そこの受付のお兄さん。聞きたいことがあるんだけど」
メイベルはというと、受付にいる男性に声をかけていた。
いつも通りというか、なんというか。やっぱり彼氏探しかな。
「ここで、奇妙な本があるかどうか探してるんだけど知らない?」
「えっ……奇妙な、本ですか?」
マズい!
「め、メイベル!ダメだよ……あははっ、すいません」
「え、ディッパー。受付の人に聞けば早いんじゃ——」
「確かに、君の言う通りだよ。だけど、手紙にも書いてあったろ?その本は誰にも知られちゃダメなんだ」
「……ああ、そう言えばそうだったね。ごめん」
「とにかく。手あたり次第探そう」
本当にこの場所にあるのだろうか。というより、この図書館はまだ一件目。
この街には、まだいくつか図書館はある。
しらみつぶしで探したら見つかるかもしれないけど……現実的じゃないよね。
グラビティーフォールズでは、ある奇妙な木を見つけて、その中にはレバーのようなものがありそれを適当に動かしたら、後ろの地面が開いたんだ。
そこに、六本の手の中に3という数字が書かれた本があった。
——もしかしたら。図書館にはあるはずがなくて、ありそうにもないところにあるのかも。もちろん、スタンの話が本当だったらだけど。
「見てディッパー!絵本だよ!」
「…………」
幼児向けのユニコーンが描かれた絵本を手にしてキャッキャとはしゃぐメイベル。
……なんというか、いい意味でまだ子供っぽいんだな、メイベルって。もう高校生なのに。
「メイベル。集中して探すんだよ」
その絵本をそっと閉じて、僕はそう言った。
「あははっ、分かってるよ」
数分図書館を探した僕たちだった。
グラビティーフォールズという町 minonライル @minon13
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