1章 高校生になった双子
1話 手紙
「メイベル――いつまで寝てるつもりだよ?」
「んん……あと、5分……」
世の中の小・中学生のような言い訳をして、布団をかぶり直すメイベル。
「はぁ……まったく」
どうして僕がメイベルを起こす役割なんだろう。普通に、パパやママが起こしに行ったらいいのに。
そう言ったところで多分こう言われるんだろうな。「グラビティーフォールズで仲が深まったんでしょ?」って。
まあ確かに、メイベルとは、去年の夏休みにグラビティーフォールズで起きている奇妙な現象について謎を解き明かしてきたからね。
時にはケンカもしたけど……それ以上に、メイベルとの団結力が桁違いなくらい深まった。
「……まあ、いいや」
僕はメイベルをほっといて、1階へと降りる。
「ちょうどいい所に。ディッパー、これ」
「?」
リビングに行くと、ママが手紙を僕に渡してきた。
「……スタン・おじさん?まさか!」
興奮気味に手紙の中を読んでみる。
「よう、ディッパーとメイベル。俺のところを離れてからというもの、俺は1人寂しくミステリーハウスを経営している。お前たちに、もう一度会いたいよ。まあそんなことはさておき、衝撃的なことを知ってしまったから、とりあえずお前たち2人には言っておくぞ。裏面を見ろ」
「なんだろう。というより、やっぱりメイベルを起こした方がいいかも」
1人でこれを読むのもちょっと違う気がして、僕はもう一度2階にあがりメイベルの部屋を訪れる。
「あー……コホン」
普通にやっても起きるわけがないと知っている僕は、その辺に落ちていた靴下を拾い、手にはめて声を高くしてメイベルに話しかける。
「メイベル、起きてくれないと靴下ディッパーが悲しむよ。はーやーく、起きてー」
すると。声が聞こえたのか、布団の中からかすかな笑い声が。
「……ふははっ、ワーオ。久しぶりの登場だね、靴下ディッパー」
「ははっ、去年以来だね」
そう。あれは――ビルに体を乗っ取られた時のことだ。詳しくは話さないけど。
「あー、あははっ。朝から気分がいいよ」
「それは良かった。ああ、そういえば、ママにこんな手紙を貰ったんだ。スタンおじさんから」
「えっ、スタンおじさん?」
数秒なんの事か分からない顔をしたが、すぐにどういうことか分かったらしい。
「去年の夏の、あのスタンフォードおじさん!?」
そう言って、ガシッと両肩を掴んできたメイベル。
「あー、多分。というより、スタンリーの方だと思う。文面からして」
「馴染みのあるおじさんだ。詐欺師の方でしょ?」
「多分ね」
メイベルは布団から出ると、目にも止まらぬ早さでパジャマから普段着へと変身した。今日は……鹿のイラストが入ったTシャツか。
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