麒麟ノ角線編

【無間聖霊駅】 エルフ娘のデシャヴ

 五月の一日の朝。

 祥観達は、麒麟ノ角線に乗った。

 鳳凰ノ導線の南側にある青い電車だ。 

 麒麟ノ角線は、鳳凰ノ導線比べてクネクネと曲がったような線路をしている。

 鳳凰ノ導線は、鳳凰の通り道のような形。

 麒麟ノ角線は、麒麟の角のような形なのだ。

 そう説明している内に、祥観達三人は無間聖霊駅の2番乗り場にやって来た。

 鳳凰台駅から十二ヶ所目の駅である。

「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…………推しのことを忘れて、ダンジョン駅を攻略しようっ! 」

「ええ? アマツ様を諦めたの? まだ、天女ヘアーなのに? 」

「継続継続! 確かに、アマツ様のことは諦めたよ。だけど、今は、天女ヘアーじゃなくてうさ耳ヘアーなの。この世界いるウサギに会いたくてね! 」

「ウサギ? 祥観を奪うもの! 」

 シュッ!

「何を言っているの? レミングのためにウサギさんを探すのよ! 」

「僕ために………………」

「そう、あなたには、心を癒す存在が必要なの。けれど、あたしだけでは、力不足なの。だから、ウサギさんがいる駅を探しましょう」

「あ、ああ………………」

 と、その時。

「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

「何だ? 」

「また、全裸のモンスターだ! 」

 下り階段の方から、金髪のロングヘアーの全裸の爆乳エルフ娘が走ってきた。

「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

「よっと!」

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーードンッ!

 レミングは、祥観を背中で押して回避。

 全裸のエルフ娘は、電車に閉じ込められた。

 シュゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーンッ!

 麒麟ノ角線は、出発した。

「さぁ、無間聖霊駅、攻略しよう! 」

「うん!! 」


 祥観達は、階段を下りて地下通路にやって来た。

「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

 ドンッ! 

「グホッ! 」

 ドンタン! 

 レミングは、突然現れる全裸のエルフ娘にハラパン。

 しかし、エルフ娘は殺すわけにはいかない。

 レミングは、エルフ娘がどう重要なのかを確かめるためにとりあえずハラパンをしているのだ。

「先へ進もう! 」

「うん!! 」

 祥観達三人は、4番目乗り場を求めて暗い地下通路を歩いた。

 左左左

「いらっしゃませぇーーーーー! 」

 緑のポニーテールをしたスレンダーのエルフ娘が現れた。

 彼女は右にある売店の中にいて、野菜ジュースやフルーツジュースを売っている。

「またエルフ娘? 」

「エプロン着ているね」

「商人ですからね」

「オレンジジュースをもらえるかしら? 」

「五百マギアです」

 祥観は、バッグから長方形の小さい板を出した。

 彼女が持ってるのは、魔導財布。

 魔法が使えない種族でも、魔法で買い物が出来る魔具である。

 ピンロンッ!

「ありがとうございます! 」

 バスッ!

「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク……プファッ! 甘酸っぱくてサイコー! 」

 グシャッ! ボンッ!

 祥観は、飲み干したオレンジジュースのカップをゴミ箱に入れる。

 その後、口をハンカチで拭いてポケットにしまう。

「休憩が終わったから、先へ行こう! 」

「うん!! 」

 祥観とハートは、レミングの後ろついていった。

 左左左左

「いらっしゃませぇーーーーー! 」

「ええ? 」

 左左左左

「いらっしゃませぇーーーーー! 」

「えええ? 」

 左左左左

「いらっしゃませぇーーーーー! 」 

「えええええ?」

 左左左左

「いらっしゃませぇーーーーー! 」

「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 」

 何と、祥観達はエルフのジュース屋さんに何度も通っていたのだ?

 しかし、なぜ、エルフのジュース屋さんにきてしまっていたのだろう? 

 そのことについて、祥観がエルフ商人に聞いた。

「何で、こんなデジャヴが起こるの? 」

「デジャヴ? あたしの名前ですか? 」

「あなたの名前じゃないよ! 」

「いいえ、『デジャヴ』は、エルフの女性名詞です。ほら、名札に書かれてますよ」

 エルフの商人は、名札を外した。

 名札に、『デジャヴ・デジャヴサン・デジャヴタン』。

「ああ、ゲシュタルト崩壊しそう………………」

「ちなみに『ゲシュタルト』は、オーガの女性名詞です」

「それは、いいから。どうやったら、4番目乗り場に行けるの? 」

「あなたは、どうやら、運が悪いようですね? 」

「ひたすら歩く? 」

 祥観は、2番乗り場の全裸のエルフ娘を思い浮かべた。

 地下通路であったのは一回だけ。 

 後はずーっと出会っていないのである。

 ひょっしたら、全裸エルフに従えばどうにかなるのであろう。

 祥観は、レミングを追い越した。

「レミング、ハート。全裸のエルフ娘を探すよ! 」

「うん! 」

「解った! 」

 祥観は、通路を歩き続けた。

 左左左左左左左左左左左左左。

 歩き続けが、中々全裸のエルフ娘が現れない。

 左左左左左左左左左左左左左左左。

「まだなのぉ? 」

「諦めるな。もう少し進め! 」

「うん! 」

 と、祥観が左を曲がったその時。

「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」

 やっと、全裸のエルフ娘が現れた。

「危ない! 」

「ああっ! 」

 ドサッ! 

「デメイジョン! 」

「うあぁぁぁぁぁっ! 」

 ビユンッ!

 レミングは祥観をハートの所に移動させた。

 しかし、レミングは全裸のエルフ娘に捕まりどこかへ消えてしまった。

「ああ、レミング……………」

「大丈夫、今、レミングは………………」

「知っているから、大丈夫だよ」

 その後、四周後に祥観が、六周後にハートが全裸エルフの力でワープした。


 無間聖霊駅4番乗り場。

 祥観達三人は、やっと目的地ついた。

 しかも、全裸のエルフ娘と一緒に。

「ここに来られたことをありがたく思ってほしいよ! 」

「何で、あたし達を追いかけていたの? 」

「理由は、あたしがこの駅の番人だから。あなた達と戦うために助けてんだよ! 」

 全裸のエルフ娘は、理由を話しがら胸元の時計の魔方陣を触る。

 そして、魔法を叫んだ。

「中堅魔術『魔法ノ剣 狼風』」

 スボオォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!

 全裸のエルフ娘は、胸から黒いモフモフがついた黒い長剣を引っ張り出した。

 その勢いで、風圧がハートの所へ襲ってくる。

 ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーンッ!

「やばい。シールド! 」

 バリーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ! 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 ガシンッ!

 バリアを張ったハート。

 しかし、風圧の謎の力によってバリアは粉々に。

 その勢いで、ハート遠くへ飛ばされた。

 ガスッ! パンッパンッ!

「ふうぅぅぅ…………フェンスのおかげ助かったわ」

「しかし、困ったよ」

「どう言うこと、レミング? 」

「あのエルフ娘、時空を操れる。邪神を倒し前にはいなかった」

「どうするの、レミング? 」

「祥観、僕に考えがある。コショコショコショコショコショコショコショコショコショ……」

 レミングは耳元で作戦を伝えた。

 それが、終わった後レミングは作戦の準備をする。

 ギリンッ! スウゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……

「おお、あなたも全裸になったのね」

「よっと! 」

 ストンッ!

「ちょっと、話しは、まだよ! 」

「あたしが、相手をしてあげる! 」

「天女? なら、本気で戦わせて上げる! 」

 全裸のエルフ娘は、剣を後ろ構えた。

 そして、魔法を叫ぶ。

「中堅魔術『時忘れ』」

 ビュンッ! ガスッ! キリリリンッ!

「ええ?! 」

「甘いわね! 」

 全裸のエルフ娘は、三秒時間を止めた。

 しかし、ハートがナイフで弾いたことで剣が落ちた。

 一人しか時間を止められなかったのである。

「今よ! 」 

 ビュンッ! ドンッ! モニュッ!

「ええ?! 」

 全裸のエルフ娘は、後ろ向く。

 そこには、全裸姿のレミングがお尻を掴んでいた。

「大天魔術『内臓全壊インナークラッシュ』」

 ブジュッ!

「ブハッ……………………」

 バタンッ!

 全壊のエルフ娘は、内臓を全て破壊された。

 彼女は、ホームの上に倒れていた。

 しかし、全裸のエルフ娘の能力はここからだった。

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーー…………

 ミュルミュルミュルミュルミュルミュルミュルミュルミュルミュル…………

「ううん? 再生?時間が戻ってる! 」

「時間が戻る? 防げないの? 」

「大天魔術には、不死力は効かない。けれど、時間を戻す魔法は防げない! 」

「じゃあ、どうやらたら? 」

 困った祥観とレミング。

 その中、後ろからハートが現れた。

「あたしに任せて! 」

 ハートは、全裸のエルフ娘の胸元に手を当てた。

 そして、魔法を叫ぶ。

「デメイジョン! 」

 スパァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!

 ハートは、全裸のエルフ娘が使っていた魔法を使った。

 全裸のエルフ娘は、一瞬にして姿を消した。

 これにより、三人は、エルフ娘との二度目のバトルを回避したのである。

「ふうぅぅぅぅ………………これで、なんとかなった……………………」

 安心したハート。

 祥観やレミングも、安心したような表情を浮かべた。

 それから五分後。

 4番目乗り場の方に麒麟ノ角線がやって来た。


 

 

 





 


 


 



 

 


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