第3話 名はリュウカ
ふと気がつくと死んだと思っていた居酒屋にポツンと立っていた
ワイワイガヤガヤと周りには活気溢れる音で溢れている
「…?あ!夢か。夢を見てたのか」とほざいたものの
…なぜかそこに自分だけはいないという確信だけがある
瞬きをすると紫紺の瞳をし同じ色の髪を持つ女が何の気配もなく現れる
その姿やオーラは何とも神々しいものであった
「もう死んでしまわれたのですね。なんともお早い」
周りはこんなにもうるさいのに彼女の声はえらく鮮明に聴こえた
「…命は残り99個です。ご健闘を…お祈り致します。」
がばっ!
気がつくとベットの上にいた
「ここは…俺の部屋…なのか?…たぶんそうだな」
…死んだ…のか…俺
夢なんじゃないかと思うぐらいなんてことはなかった
それにしてもあの女はいったい…
あの女の言葉を聴くに、俺は生き返ることができるらしい
不老不死?
あ、回数制限あんだった
しかし98回も死ねるというのはとんでもない。死に際に死んでも死ねない地獄が待ち受けるのだからな
さて、昨日の夜のことをまとめよう
最後茂みの中からあの魔物を見た時、ちょうど月が奴を照らしてくれたおかげで奴の全体像を把握することができた
顔、手は虎。体、足はゴリマッチョな人といういかつ過ぎる体はしかも全長7メートルぐらいとかいう大きさを持ち合わせていた
おいおいチートかよ
スライムは丸っこかったな…
あいつこそチートだわ
しかし!俺は今もーれつに燃え盛っている!
この世界は魔物が存在するのだ。その情報は命1つ失う価値があるだろう
あるとしよう。これに関わるのは俺の価値観だけだからな
ちらっと時計を確認する………?
時計なくね?
そういえば色々歩いたけどどこに行っても時計を見なかった気がするな…
とにかく!何時だよ!今!
もあい!俺は惰眠を貪るぞっ!
……
………
…寝れん!
暇だし部屋の間取りでも再確認しとくか
まず窓際には俺が寝ているベットがある
そう!今寝ながら見てるのさっ!
そして窓と反対側の壁の俺から見て右側に扉があり枕もそっち側に向いている
北枕とかあんのかな?
扉の横には机があり、その隣に壁に本棚が置かれていた
…とまぁそんな感じかな?
うーん…
うん!
外出るか!!
家から出て少ししたら商店街に着いた
この場所は屋台みたいな店が立ち並び、どこもかしこも繁盛しているようであった
なんとも異世界らしい光景だなぁと目をキラキラさせながら商店街を通り過ぎていった
商店街を過ぎてからしばらくするとある建物を見つけた
そいつは他の建物に比べ特別大きく、なんとも立派であった
そしていかにも冒険者のような風貌の人たちが入り口を潜って行くため、おそらくここはギルド…
ギルド!?
これは…あついぞ…!
俺は何も考えずに意気揚々と扉を開け、中へ入った
ざわざわ——かんぱーい!——ご注文はお決まりですか——
さまざまな声の圧が俺を押す。
凄い…!!
一瞬で空気が変わった!
建物の大部分は飲食店…まぁ酒場であろう
てか朝っぱらから酒飲むなよな
まったく…
「おはようございます〜、何かお探しですか?」
酒場の空気に気圧されていると不意に声をかけられた
彼女はメガネをかけていて髪型はショートボブ。もはやテンプレになりつつある受付嬢のイメージをそのまま持ってきたような格好をしていた
「あの、ここはいったい…」
まだギルドとは決めきれないと思っていたから、この人に聞くことに決めた
「あら初めて来られたのですね!歓迎いたします、ここは酒場と交換所を保有している国立ギルドとなっております」
やはりここはギルドで正解のようだ。国立と言っているからに推測すると、おそらくこの世界には国境が存在しそれぞれを地球と同じように国と言い表していることがわかる。さらに国の運営する企業をわざわざ宣言するということは私営の企業もあるはずだから今いるこの国は共産主義的な体制をとっていないことがわかる
酒場…は傍においといて、交換所とはなんだろうか。気になる
「交換所…ですか?」
「はい、冒険者が収取したものをカマネと交換する場所です。当店は交換所の中にある、あるものを1番の強みとして謳っているんですよ」
「そうなんですね」
カマネって何ですか?
「そうなんですよ。ちなみにそれは鑑定なんですけど…」
自分で言うんかい
「今誰もいないので鑑定…してみませんか?」
「…ちょっと興味あるかも…」
「ではやっちゃいましょう!ギザの部屋でやりましょう」
「ギ…ザ…?」
ギザってなんだ?ギルド専門用語?
「えっ…知らないんですか!?あわわ、未就学児だったんですね…」
彼女は心底驚いた表情を見せ、小さな声でそう呟いた。
「ま、ま、取り敢えずあちらの奥のところで鑑定しましょう」
そう言うと、俺はギルドの建物の入り口から見て右側の1番奥の部屋に案内され、席に通された
どうやら鑑定は彼女がやってくれるそうで部屋の真ん中にある机の中からゴソゴソと重量感のある石板を取り出した。
鑑定とか交換はこの個室でやるのか…人に見られたり聞かれたりしないし結構いいシステムじゃね?
「では、唾液をこちらに垂らしてもらって…」
「ちょっ!待ってこださいよ!絵面!絵面最悪ですよ!?」
「はは、ご冗談ですよ〜ご冗談…やってくれれば幸いなんですけどね…」
んん?今なんか聞いちゃいけない事を聞いたような…ってかこの人今すげぇやべぇ顔してる
やっぱり知らない大人についていっちゃいけないって本当だったんだなぁ
「ではこちらに足を置いてください」
うーん独特。手とか顔とかで計るもんだと思ってたよ
彼女は石版を少し高い台に置き、そこに俺は片足を置いた
…なんか下から邪な視線を感じ下…もとい彼女をちらりと覗き込むと
じー…だらー…
ヨダレを少し垂らしてスカートの隙間を覗き込んでいる…うわぁきもちわりぃ
異世界の受付の方は清楚だって信じていたのに!
ピピピ,ピッコリピッコリコリコリコリーン
え?今のが終わりの合図?終わりの合図聞きづらいな〜。なんで?
「はっ!終わりましたね。こちらが鑑定結果となります」
彼女は俺に石板の下から敷いていたであろう紙を取り出した
鑑定…
俺にどんな力があるのかな
まさか!蘇りの他に転生特典のチート能力とかあるかも!
わくわく
俺はそっと鑑定結果が映し出された紙を受け取る
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ランドウ・クタンセア・リュウカ 5歳
Level1
HP:100/100 MP:10/10 SP:11/11–12/12
スキル枠:[天命LV8][恐怖耐性LV3][隠密LV2]
称号:[天照=不死鳥*束縛*][思金=巫女賢人*束縛*]
[鑑定不能:項目不明]
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ステータスで何か特別なものは…ないか。SPの読み方が分からんぐらいだな。称号については…てか称号ってなんだよ…まぁいいとして、なにやらカッコいい名前が幾つかある。やっぱり転生特典とかあんだね。
「ちなみにですね、我がギルドでは最高の鑑定版LVダナを取り扱っているんですよ。さらに普段は手を鑑定するだけでいいんですけど、足で鑑定することによってより精度を高め,[鑑定できませんでした]を無くすことができるんですよ!ふふん。あっ、つい力が入ってしまいましたね」
「え?鑑定不能と書いてるんですけど…」
「ふふん、そうでsy…え?そ、そんなぁ〜我がギルドの名物にギズがついちゃう〜」
汗をダラダラと垂らしながら目をぐるぐると泳がせまくっている
よほどこれを売りにしてたんだろうな
「そ、そうだ!もうギザ度計りましょう!」
否定する理由がなかったのでそれに応じた
「…どうでしょう。鑑定できませんの文字はありますでしょうか…」
「あります」
「ひえ〜!えっと、あっと、そ、そうだ!もう一度計りましょう!」
「…どうでしょう。鑑定できませんの文字はありますでしょうか…」
「…あります」
「ひえ〜!…………以下略
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