第2話
「いらっしゃいませ!」
家電販売店へと入った俺の目に真っ先に入ってきたのは『有名オンラインゲーム入荷しました』の広告だった。
俺はゆっくり店内を見渡した後、その広告に載っている商品が置いてるであろうコーナーへと歩みを進めた。
♢
「す、すごい。こんなに沢山……」
俺がたった数年間ゲームをプレイしていなかった間に、ゲーム業界が大きく革新を遂げていたのだ。
まず最初に驚いたのがコントローラーレスではなく、本当の意味でコントローラーが必要なくなっていたということである。
それには、動揺するほかなかった。
……。
「あれ〜? 何処にあるんだよ〜?」
気を取り直した俺は、広告のソフトを探してはいるのだが全然見つからない。
それもそうだろう。数百……いや、数千を越えているであろうソフトの山の中からたった一つを取り出さないといけないのだ。簡単というほうがどうかしている。
「ふぅ。いた仕方ない……」
そう思った俺は、少しためらったが最強の道標を召喚することにした。
「あ、あの〜すみません……この〇〇を探してるんですけど……」
俺は勇気を振り絞り、店員さんに声をかけることにした。
しかし。
「あ〜。すみません。その商品なんですが、ちょっと在庫、今切らしてて……この〇〇も面白くておすすめですよ?」
「あ、あぁ。そうなんですね……大丈夫です。ありがとうございます」
みろ、この仕打ちを。
人がせっかく勇気を出して頑張ったにも関わらず、こんなふうに世の中は報われないことだらけなのである。
仕事の時は仕事と割り切っていたからなのか、人と話すのはそこまで苦ではなかったのだが、プライベートになると話は変わる。
プライベートになった途端にすぐ緊張してしまうので、常にこんな感じでわりと引っ込み思案になってしまうのだ。
その為、ご近所付き合いや店員さんに対して接する時なんかは、こんな風に結構苦労しているのだ。
「はぁ〜〜」
俺が長いため息をこぼしては、そのままゲームコーナーをあとにしようとした……その時だった。
「あ、あの! もし良かったらですが、この〇〇ソフト、シェアしませんか!?」
俺は最初、その人に呼びかけられていたのが自分ではないと思っていたので振り向くことをためらっていたのだが、辺りに店員さんしかいないことを確認したので、もう一度だけ勇気を出して振り返ってみることにした。
「あ、ぁ……」
見るとそこには、ふわふわとした天使のような女性が澄んだ瞳でこちらを見てはパチクリさせていた。
肩まで伸びている黒い髪はしっかりと毛先のほうまで手入れが行き渡っており、青色の瞳はまるで
そのうえ、ボディバランスは有名人と引けを取らないくらいしっかりとメンテナンスが施されていて、締まるところは閉まっており、出るとこは割と出ている。
なんだ、"無敵超人フェアリー" か。
「貴方と店員さんの一連のやり取りを勝手に見てました。ごめんなさい。それで、良かったらですが……」
無敵超人フェアリーはそのまま言葉を続ける。
「その。私、まだ始めたてで分からないことだらけなので、良かったら一緒にやってくれませんか?」
「いや……え?」
なにこれ? 新手の逆ナンか?
前にゲームを使ったナンパがあるとは聞いていたが、そんなもの一度も受けたことはない。
というか。普通に生きていてもこんなこと一生に一度あるかないか、いや、やっぱりないくらいの重大イベントなのだが……どうも引っ掛かる。
こんなに容姿のいい子が普通、俺みたいな冴えないやつを相手にするものなのか、と。
俺は用心深く、その無敵超人フェアリーを見つめることにしようと――いや、無理だった……。
これまで彼女0の俺にとって、いきなりこの無敵超人フェアリーを相手にするのは、幾ら何でもレベルが高すぎたようだ。
目が合うだけで妊娠しそう……。
俺はそんな変な気持ちにさせられてしまった。
「ありがとうございます! 本当に分からなくて、どうしようかと困っていました! その、これからもよろしくお願いします!」
とまぁ。そんなわけで俺は、彼女の誘いを断ることが出来ずに、結局そのままの流れで彼女と連絡先を交換しましたとさ……って、なんで?
俺は家に帰宅しては、そのもらった連絡先としばらく睨めっこをしていた。
果たしてこれは、俺の人生にとってターニングポイント的なやつなのか、それともただの冷やかしなのか……。
考えれば考えるだけ分からなくなるので、俺はただひたすらにその連絡先を見つめていた。
to be continued……。
♢
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仮想世界で恋(ラブ)りませんか? NEET駅前@カクヨムコン初参加 @eisaku0201
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