仮想世界で恋(ラブ)りませんか?
NEET駅前@カクヨムコン初参加
第1話
世間が言うところの大手企業に対する "安心感" の本当の意味は、当然だがそこで働いたことのある人にしか分からないだろう。
かく言う俺――
その俺の実体験から言わせてもらうと、どこも大して変わらないというのが俺の本音だ。
確かに大手は目に見える給料面や福利厚生などはしっかりしており、そのほとんどが手堅い。故にそういった面での安心感はある。
しかし反対に、目視することができない対人面においてはどうだろうか?
答えは…… "聞くだけ野暮" というものなのである。
♢
土曜日の8時過ぎ。
入社五年を迎えた俺は、入社一年から始まった上司のパワハラに今日も振り回されている。
「ちっ!クソがっ!」
俺の声に、辺りにいた若い社員のカップルや老婦人達が揃いも揃ってびっくりしている。
はっきり言って、もう限界だ。
俺は会社に隣接している一般の人も立ち寄れるカフェで、キーボードを乱暴に叩きながらモーニングコーヒーを口に入れた。
俺が残業を超過していても、アイツが俺の残業日数だけ監査に引っ掛からないよう調整しているうえに、そのうえ休日も会社に出て来いだと? ふざけるなっ! しかも!俺の休日出勤の理由の大半がアンタが起こしたミスに対しての尻拭いじゃないかっ!
「決めた。今日限りで退職してやる!」
俺は一気にアイスコーヒー(グアテマラ産)を飲み干すと、その足で人事部のほうへと足を運んだ。
その後、俺は退職手続きを済ませ、残りの日数は全て有給消化に当ててもらった。
今の時代は、ほんと便利になったものである。
俺が新入社員だった頃とは違い、今は直接上司に会わなくてもこうやって退職を代行が勝手にやってくれるのだ。
……。
俺は会社を出ると一人ガッツポーズをして誰もいないところで声を大にして歓喜の声を上げた。
「全部終わった。よし! これで俺は晴れて明日から仕事に行かなくてもいいんだ! 景気付けにちょっと高めのビールでも買って帰るか!」
♢
翌日。
俺は昨日まで楽しみにしていたニート生活そのものを、酷く後悔することとなった。
一日中歯ぎしりをしたり、身体中を引っ掻き回したりするなど、酷い時には何度も嘔吐することもあった。仕事を退職したにも関わらずだ。
♢
俺が退職をしてから一週間が過ぎた。
病院に掛かってはみたが、どの病院の医者も言うことは全く同じだった。
"異常なし" ……である。
なんでこんなにも症状が出ているのに関わらず、異常が何一つとして見られないんだよ。
「はぁ〜」
ひょっとしたら、今までは仕事で忙しく働いていた為、脳がそっちのほうに集中していたから、そういう症状が何一つとして出てこなかっただけなのかもしれない。
確かに。長年勤めていた人がその勤めていた会社を辞めた途端、翌年に亡くなったというケースは沢山あるらしいし。
これもその一種なのかもしれないな。
こんな生活があと何年続くのか。
「ん?」
俺が気分を変えるため電車に乗っていると、ほとんど廃人状態でもあった俺の目に、ある広告が飛び込んできた。
それは――――オンラインゲーム(VRMMO)の宣伝だった。
なんで忘れていたんだ。俺、よく考えてみたら昔はよくゲームやっていたじゃねぇか……。
俺は失っていたものを取り戻したかのように目を見開いては、廃人状態からギリギリのところで立ち直りを果たすと近くの家電販売店へと急ぎ足で向かった。
to be continued……。
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