4 どうしてお前はひよこ巨乳なんだ(哲学)
鑑定も終えてイレヴンの新しい装備をゲットし、改めて俺たちは自宅に戻ることにした。
道中で買い込んだ食料を腰に提げたアイテムボックスに収納しつつ帰路を歩く。
「先ほどマスターは15歳とお伺いしましたが……その年齢で既に自宅を所有しているのですか」
「まぁね。いうて俺が買った家じゃなくて……なんつーか、貰い物みたいなかんじ」
「ふむ。普通駆け出しの冒険者というのは宿屋の一室を借りたりするのが文化だと思っていました」
「フツーの冒険者はそういう人が多いんじゃねーかな。俺はたまたまよ」
イレヴンに俺の事情を軽く説明する中で自宅持ちである所に突っ込まれる。
普通、駆け出しの冒険者ってのはホントに奇跡的に一山当てたとかでもない限りは金欠になるからな。家なんて買えるわけもないのだが……俺はちょっとその辺は事情が違ったのだ。
運がいいとは口が裂けても表現できないが、色んな縁で自宅を所有している。
そんなわけで王都の町はずれに在る自宅へ向かう。
この辺りは住宅街で騎士団や自警団の見回りもしっかりしていて治安も安定している区画だ。
周りにも家がいっぱいあるが、ちょっと逸れて道なりから外れた所に俺の家はあった。
「え。すごいしっかりした家じゃないですか……」
「そうなんだよねぇ」
イレヴンが驚いた顔で見上げる一軒家。二世帯くらいなら問題なく住めそうなくらい俺の家は大きい。
築年数もまだ20年も建ってはいないか。普通に立派なお宅であった。
「もしかして当たりのマスターかもと私は今見識を新たにしていますよ? 孤児院出身ともお伺いしていましたが……」
「そんなに金があるわけじゃねーからな! 期待されすぎても困るからな!!」
「おや。あれだけ宝物の収集が得意なのに……マスターはお金に困っているのですか? 確かに見た目はスラムのガキみたいですが」
「そんな褒めるなよキレるぞ。まぁ人にはいろいろ事情があるんすよ」
別に儲けたいから冒険者やってるわけじゃないしな俺。ハーレム作るためだし。
もちろん宵越しの金は持たぬとかほざくほどバカじゃない。銀級に上がるまでにそれなりには稼いでいる。主に宝箱開ける仕事で。
儲けの3割は孤児院に寄付してるし残りの手取りの半分は同居人の食費に消えているから金欠なんだけどね。まぁどうでもいい事やろ。
さて家に着いた。
鍵は開いてるからどうやら先にあいつは帰ってきていたようだ。
「ただいまー」
「ん。おかえり、ロック」
「!?」
玄関を開ければ、同居人であるリンから返事があった。
イレヴンが驚いている。まぁ驚くやろな。その顔が見たくてここまで同居人がいることを説明してなかったまであるよね!
「……ロック、それ、だれ?」
「マスター、その少女は……」
「おー。こいつは俺がダンジョンで見つけて来た女です。これから俺の女としてここに住むことになるのでよろしく。イレヴン、こいつはリン。一緒に住んでる
「私はマスターの女になった覚えはないです」
「わたしもロックのおんなではない」
「意志が強い」
二人とも将来の俺の女なんだよ……!! と熱弁をここで振るってもイレヴンのゲンコツとリンの尻尾が跳んできそうだったので諦めた。
とりま中に入ってお互いに自己紹介をさせる。リンは使える言葉が増えててえらい。俺もリンのたどたどしい説明に補足を入れながら紹介する。
リン。
身長は135cmくらい。ちっこい。まだ女児というくらいで人の言葉も勉強中だ。
竜の血がめっちゃ混ざってるみたいで耳の横から竜っぽいツノが生えてるのと、背中から格納可能な羽根が生やせるのと、ぶっとい尻尾が生えている。なんで服にはかなり気を遣う。
耳のあたりに鈴飾りがついてて歩くとリンリンなるからリンって名前を付けた。俺が。
顔は身内びいきなしで超カワイイ。早く成長して俺の女になってほしいと心から願っている。孤児院のシスターのセンスで修道服にも似た黒いドレス風の服を普段は身にまとっている。
そして胸が異様に大きい(重要)。
体は子供なのにたわわなそれがそこに実っている。イレヴンといい勝負。
いわゆるロリ巨乳というやつでして。
違うんだよなぁ……!!!!!(魂叫)
「胸だけデカくてもなぁ~……!! 俺が求めるのはイレヴンみたいなむちむちぼいんなんだよなぁ!! 早く成長して爆乳ドスケベドラゴンお姉さんになって俺をよしよししてほしいんだよなぁ……!!」
「少なくともマスターの存在がリンの教育に悪いことは理解しました口閉じろこの馬鹿野郎」
「ばかやろー?」
『みゃあ』
本音を叫んだらめちゃくちゃイレヴンに怒られた。鉄槌が頭に突き刺さりその反動でミャウも起きてフードからのそのそ出てきて水を飲みに行った。アイツも自由な猫だな。
いやだって違うだろ……!! 目の前に手を伸ばしたくなるようなおっぱいがあるのに子どもだから手を伸ばせないんだぞクソッ!! 辛い!! 俺よりガキな子はストライクゾーン外じゃん常識的に考えて手を出しちゃ駄目じゃん!!
いっぱい食べて早く大きくなるんだぞリン。あと半年くらいで一気に身長伸びないかなこいつ。お尻もふとももも大きくなってむちむちばるるんドラゴンお姉さんになるのを俺はずっと待ってるよ。
「しかし……リンは相当高位なドラゴンの血を引いていると見ました。感じ取れる魔力貯蔵量がこの年齢にしては余りにも多い」
「そうなんだ? 俺魔法てんでダメなんで知らんかった」
「マスターはリンとどのような関係なのですか?」
「んー……奴隷になりかけてたところを助けた感じ」
「んー」
「奴隷……?」
「いやね、色々あったんだよ」
簡単にリンと出会った経緯を説明する。
ハーレムを目指して冒険者を始めて、最初に娼婦街で美人局を食らったことで娼婦はアカン! モテるためにちゃんと金貯めよ! ってなってた時の事。
ギルドの依頼で違法奴隷商人がいるから調査してっていう高額依頼があって、戦闘なさそうだし報酬いいしってことで受けてみた。
んで持ち前の勘で奴隷商人を見事に見つけた時にちょうどリンが捕まっていたのだ。竜人はこの王都でも極めて珍しい種族だ。子供なら高く売れるんだろう。
そんなわけでリンが隷属の首輪つけて捕まってたのだが俺は子供が辛い目に合うのマジで許せないマンなのでシーフらしく商人どもからリンを盗み出して首輪外して救出。
そのままギルドに違法奴隷商人の位置を報告をしてクソ商人どもは検挙。そん時捕まってた奴隷たちは解放になったが、リンはなぜか知らんが俺に懐いてしまった。
本人が当時は言葉も話せなかったし自分の出身地とかも覚えておらず、ギルドはどうすべきかやり場に困った。
最終的に俺が育った孤児院で面倒を見ることになったがあそこもだいぶ手狭だし、人間より力の強いリンが孤児院でずっと生活するのが大変なので、普段は俺んちに住んでいて昼間は孤児院で勉強して……って感じである。
「そしてコイツの常識外れな食欲を一手に引き受けている身元引受人が俺というわけです」
「ロック、ごはんは? ごはんまだ?」
『みゃあ』
「今作るから待っててね! 今日はお肉いっぱい買ってきたからね!」
「おにく! やったー!」
『みゃあ!』
「なるほど……マスターの事をまた色々と見直しました。ただの脳内ちんちんハーレム妄想野郎ではなかったのですね」
「まぁガキは健やかに育ってナンボでしょ。育ったらちゃんと恩返しはしてもらう予定だしねグヘヘヘ」
「訂正しますこの頭光源氏野郎がよ」
「誰!? ヒカルゲンジって誰ぇ!?」
リンとミャウが今日はお肉と聞いてめっちゃ嬉しそうにしている。こいつら常に食欲に頭を支配されていやがるな。
イレヴンから見直されたり貶されたりと忙しかったが……まあでもガキは健やかに育つべきだ。俺がそう育ててもらえてるしな。子供に甘いよ俺は。
「さてんじゃ作るか。イレヴン料理できる? 手伝ってくれる?」
「料理スキルも備えています。もちろんお手伝いいたしますよ」
「助かる。リンは10人前は食べるからな、めちゃくちゃ作るんでよろしくな。あ、イレヴンも食事はするの? 人間じゃないって話だけど」
「食べなくても稼働はできますが、食べる事も出来ます。食べたものは全て内臓魔力炉に魔力として貯蔵されます」
「えっ。つまりイレヴンはしないのか……うん」
「口に出すな」
「ごめん。じゃあ俺とイレヴンの分も作るか。おっしゃ食材どしゃー!! 今日はブリトー祭りじゃい!!」
「こんなに。なるほど、金欠になる理由はこれですか」
「そゆこと」
リビングでよだれ垂らして待ってるリンとその胸の下で飯を待つミャウが料理を作る俺たちの背中をじーっと見ている。
食費の割合がすんごいんすよね。まぁ食わせないという選択肢はないのでもちろん家主の俺は頑張りますよ。
将来的にハーレムを作る段になったら料理を一手に受けてくれる人とか入れてぇなぁ! 毎日料理作るのも大変だしなぁ。俺が帰れない時は孤児院にお世話になってるけどシスターに負担掛け続けるわけにもいかんし。
「肉を切るサイズはこれくらいでいいですかマスター」
「でっか!! デカいよ!! もっと刻んでいいよブリトーなんだから一口サイズより小さくて!」
「ではこれくらいですか」
「みじん切りにしろとは言ってねぇよこのポンコツがよ!」
「料理初めてなんだからもっと優しく教えてくれてもいいじゃないですかマスター」
「お前料理スキル持ってるって言ったよなぁ!? ああもう見本見せるから! こんくらいね! 生地に肉を包んで食べるから! 俺は野菜切って生地つくるから肉切って焼くのは任せるからね!」
「おにくはおっきく! おっきくていい……!!」
『みゃあ!』
「そう言って口周りソースでべたべたにするでしょリンはー! お淑やかに育ってくださいませ!!」
「むむ」
イレヴンに料理を手伝ってもらったがぶっちゃけイレヴンもあんまアテにならなかった。包丁とかは使えるけど実際に料理してねーなこの手つきは! ンモーこのポンコツ!!
その後なんとか作り上げたブリトーの山をすごい勢いでリンが消費して、騒がしい夕飯を過ごした。
「よし。そんじゃ後は風呂入って寝るだけだな。イレヴンの部屋は調えとくからその間に風呂入っていいよ」
「お風呂もあるのですか。お湯とかはどのように?」
「家の裏に火魔法と水魔法の魔導タンクがあるからそれで沸かせるよ。リン、仕組み教えてやってくれ」
「おー」
「助かります。よければ一緒にお風呂に入りますか?」
「入るッッ!!!!!」
「お前には言ってねぇよリンとですよこの思春期モンキー。覗いたりしないでくださいね」
「リンが一緒に入ってんのに覗くわけねぇだろ! 見くびんない!」
「逆に言えば私が一人だったら覗く気だったわけですね」
「そんなことないし」
「目を見て話せカス」
「ロックはカス……?」
「リンが汚い言葉覚えちゃうからそれくらいにしてお風呂行ってきてね」
この家はそれなりに新しく建てられた家なので、現在王都で主流になってる魔導タンクが設置されている。魔力を注ぎ込めば火を使ったり水を使ったりできるやつね。結構立派なお風呂もあるので二人くらいなら余裕で入れるだろう。
一般人だと魔力使えないからタンクに魔力注ぎ込む業者とか仕事ってのもある。俺も魔力は使えないけど俺んちはとある事情でいつもタンクは魔力満タンだ。
それに部屋も俺の部屋とリンの部屋を使ってまだ余ってるので、二人が風呂入ってる間に客人用に使ってた一室をイレヴン用に整理して提供してやる。
なんか……なんか家政婦みたいだな俺。飯作ったり掃除したり……ハーレムってこういうもんだっけ!?
「まぁいいや。いずれエロい雰囲気になるやろきっと」
『みゃあ』
前向きに考えるのは俺の得意技だ。
イレヴンと出会ったが今日一日で童貞卒業まで行けるはずもなし。信頼を積み重ねてあのドスケベボディをその手にするまで俺は頑張り続けるのだ。
冒険もしたし俺も随分と疲れてたので、部屋の整理が終わった後はイレヴンたちと入れ替わりで俺も風呂に入って、風呂上がりの牛乳を飲んで部屋に戻ってシコってぐっすり寝ることにした。
出会った瞬間のイレヴンの裸をおかずにしたらめっちゃ出た。部屋の隅でミャウが凄いしかめっ面してた。
※※※
~登場人物紹介~
■リン
竜人のガキ。ひよこ巨乳。でっけぇおっぱいとでっけぇ尻尾とでっけぇ羽根が特徴。
言葉を勉強中。身元引受人の口調がカスなので影響が心配。
執筆当時の流行に乗ってサブタイトルを変更しました。
旧:どうしてお前はロリ巨乳なんだ(哲学)
新:どうしてお前はひよこ巨乳なんだ(哲学)
ぴよぴよ。
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