第131話
マルエ公爵であるトールズは帝城にて仕事をしていた。
「うん?これは・・・」
特殊な通信で送られてきた内容を見て複雑な顔をする。
送ってきた人員はトキノリの補佐につけた人物からだったからだ。
「トキノリ殿が行方不明か・・・」
トールズは人の好い青年であるトキノリが何か厄介ごとに巻き込まれたのを理解した。
「陛下に相談しなければならないな」
トールズはすぐにエニュー帝国の皇帝であるアルベルトに謁見を申し出た。
許可はすぐに下りてアルベルトの執務室に向かう。
「陛下。ご報告があります」
「なんだか厄介ごとの気配がするが・・・」
「トキノリ殿が行方不明になりました」
「トキノリ殿がか・・・。確かフロイタル星系にいるのだったな」
「フロイタル星系ということはモーリス侯爵ですか・・・」
「何やら不正の気配がすると暗部のウロボロスからは連絡があってな」
「なるほど・・・。その不正と関係があると?」
「その可能性はあるだろう」
「他の派閥ではありますが介入する許可を頂けますか?」
「どうするつもりだ?」
「一時的にトキノリ殿につけた人員をマルエ公爵家の騎士として復帰させます」
「お主のところの騎士は優秀だったな。許可しよう」
「ありがとうございます」
トールズはすぐに騎士として復帰させる旨の通信を送った。
「だが、配下だけを動かすのは問題だな」
「はい。ですので私も現地に向かおうと考えております」
「トキノリ殿を任命したのは私だからな。何が起こっているにせよ私も現地に向かおう」
こうしてトールズとアルベルトはフロイタル星系に向かう準備をすぐにはじめた。
「マルエ公爵閣下から騎士への復帰命令がきた。これで本格的に動けるな」
「そうですね。まずは、トキノリ様がどこに連れていかれたか特定しましょう」
「そうだな。電子戦はサーシャ様が本業なんだが・・・」
「連絡が取れない以上はこちらでするしかありませんね」
「監視カメラにハッキングをしかけます」
雪風の電子戦装備は優秀だ。
そこらの電子戦艦よりも性能が高い。
「カメラの情報きます」
「よし、そのままどこに連れていかれたか特定してくれ」
「了解です」
だが、追跡は途中で頓挫してしまった。
フロイタル星系の中枢部に差し掛かったところでセキュリティーレベルが一気に跳ね上がったのだ。
「すみません。自分の腕ではここから先は厳しいです」
「いや。そこまで追跡してくれただけでも十分だ。絶対に何かあるな」
「ここから先はどうしますか?」
「中枢部に連れていかれたのは間違いない。地道に足で調査をする」
「わかりました。装備はどうします?」
「完全装備で乗り込むぞ」
雪風のクルーは奪われたトキノリを奪還する為に万全の状態で出撃した。
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