第130話

食後の休憩を終えたマリーはマリーゴールドに戻るということでトキノリは見送りにきていた。

「ごちそうさまでした」

「いえ。またお邪魔しますね」

「いつでも歓迎しますよ」

マリーが下船したタイミングで武装した男達がやってくる。

装備を見るに星系軍ではなかった。

「我々はモーリス侯爵家の治安組織だ。お前をスパイ行為で拘束する」

トキノリは取りあえず雪風のシステムをロックする。

「トキノリさん・・・」

「マリー。心配しないでください。大丈夫ですよ」

心当たりは1つしかないがここで抵抗しても無駄だろう。

「抵抗する意思はなさそうだな」

「抵抗しても勝てそうにないですからね」

護身術を学んだとはいえ完全武装の相手に勝てるほどの腕はない。

トキノリは手錠をかけられ男達の指示に従い連行された。



マリーはマリーゴールドに戻ると休暇中の雪風のクルーに連絡を取った。

「マリー様。何かありましたか?」

「トキノリさんがモーリス侯爵家の治安組織を名乗る人達に連れていかれました・・・」

「トキノリ様が?すぐに戻ります」

雪風のクルーはすぐに戻ってきた。

「詳しい話を聞かせてもらっても?」

「いきなりやってきてトキノリさんを連れていかれちゃいました・・・」

「罪状とかは言っていませんでしたか?」

「スパイ容疑って・・・」

「なるほど・・・。トキノリ様は貴族の1人です。その罪状で連れていくのは無理がありますね。すぐに抗議します」

そう言ってクルーはフロイタル星系の行政府を呼び出した。

「こちらフロイタル星系、行政府です」

「モーリス侯爵家の私設軍に貴族であるハラヤマトキノリ名誉男爵が捕縛されました。貴族位を持つ者を拘束できないはずです」

「すみません。確認しますのでしばらくお待ちください」

通信が切れ5分後再び通信が送られてくる。

「確認しましたが、そのような事実はありませんでした」

「そんなはずは・・・」

「申し訳ありませんが他に業務がありますので・・・」

そう言って、行政府との通信は切れた。

「どういうことなんでしょうか?」

「偽物だったか、下にはアクセスする権限がないのか・・・。とにかくサーシャ様と連絡を取ってみます」

だが、サーシャに連絡を取ろうとしたが連絡は取れなかった。

「何かが起きているのは間違いないですね」

サーシャが連絡に出ないときは非常事態だということをクルー達は知っていた。

「どうしましょう?」

「我々は我々で動くとしましょう」

ここにいるメンバーでトキノリの窮地を見捨てる者は誰1人いない。

全員がトキノリ救出の為に動き出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る