第31話

雪風には豪華な客室も通常装備されているが1人でいてもつまらないだろう。

というわけで、ユーラシアは雪風のブリッジにいた。

「この船はどこを目指しているのですか?」

「今はニコラス星系へ向かっています」

「それはお仕事ですか?」

「そうですね。自分は運送ギルドに所属しているので」

「そうなんですね・・・」

「何か暇つぶしができればよかったんですが・・・」

「いえ。こうして会話をできるだけでも十分楽しいですよ」

「それは良かったです」

その後もトキノリとユーラシアは雑談しながらニコラス星系に向かった。

1人で船に乗っているのもいいが、こうして誰かと一緒するというのも悪くない。




ニコラス星系へ無事に到着し管制の指示で雪風を停泊させる。

「さて。無事に目的地に到着です。少し仕事をしてきますので待っていてください」

「わかりました」

すぐに運送ギルドの職員が小型の輸送艦で隣に船をつける。

「こちら運送ギルドの者です」

「今、ハッチを開けますのでお待ちください」

トキノリはそう言って搬入用のハッチを開ける。

運送ギルドの職員が乗り移ってきて積み荷を確認する。

「はい。全てありますね。移し替え次第、依頼料をお支払いします」

「よろしくお願いします。ついでと言ってはなんですがマルエ公爵領向けの仕事はありますか?」

「少しお待ちください」

そう言って運送ギルドの職員は端末を操作する。

「直接の依頼はないですね。途中にあるリーズベルト星系への仕事ならありますよ」

「そうですか・・・。その仕事を受けさせていただいていいですか?」

「もちろんです。では、手続きをさせていただきます」

そう言って運送ギルドの職員は手続きを行ってくれる。

無事に鉱物を渡し終え依頼料が振り込まれたのを確認する。

「私の仕事はここまでです。積み荷については別の職員が参りますので」

「わかりました。お疲れ様です」

「では、私はここで」

そう言って運送ギルドの職員は小型の輸送艦を操り離れていった。

しばらく待つと別の小型の輸送艦がやってくる。

「お待たせしました。積み荷をお持ちしました」

「積み込みの方をお願いします」

「わかりました。積み荷は酒と煙草になりますけど大丈夫ですか?」

「酒と煙草ですか。問題ないです」

運送ギルドの所属員はいくつかのランク分けがされている。

経験の浅い所属員は酒と煙草といった嗜好品を扱うことが許されていないのだ。

トキノリはぎりぎりその資格を得ていたので問題がなかった。

「はい。積み荷の積み込み終了です」

「確認しました」

「では、荷物の方をくれぐれもよろしくお願いします」

「必ず届けます」

そう言って運送ギルドの職員は小型の輸送艦に乗り雪風から離れていった。

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