不完全令嬢の復活劇 ~天才お嬢様は天災クソレズお嬢様に色々と奪われて殺されて殺し返す~

🔰ドロミーズ☆魚住

不完全令嬢の開幕劇(1/3)

「今年の学内ミスコングランプリの優勝者は……中学3年生の下冷泉しもれいぜい雪鶴ゆづるさんです! 3年連続グランプリ制覇! まさに歴史的快挙! 学内1番……いいえ! 校史に残るゴッドビューティ! 何ならここ宮崎県1番の和風美少女と言っても過言ではありません!」


 なるほど、確かそういう設定だったか。

 私が中学校の時にはそんな事があったらしい。

 

下冷泉しもれいぜい先輩! お、俺……! 先輩の事が好きっす! つ、付き合ってください!」


 他人事のように聞かされた話ではあるのだけども。

 私が中学校を卒業する時に数え切れないぐらいの後輩の男子生徒に求愛をされて、100人近くの男子に失恋を体験させた事もあったらしい。


 まぁ、それはそれとして。




「ん――!? んん――!? んんん――ッッッ!?」




 私は服を全て脱がされた全裸の状態で、手錠を無理やりに装着させられた状態で監禁されていた。


 主犯は目の前にいる、銀髪蒼瞳の、綺麗な身体を有する全裸のクソ女だった。


「ん――⁉ んっ――⁉」


 結論から言ってしまうと、だ。

 

 私、下冷泉しもれいぜい雪鶴ゆづるは目の前の女の所為で全裸にさせられ、手錠で動きを封じ込められ、口に詰め物をされて声を奪われ、ホテルの大浴場を彷彿とさせる広い広い豪華な風呂場に監禁されていた。


「んっ……! んんっ……! んんぅ……!」


「あらあら。涙が出るほどに嬉しいだなんて光栄ですわね」


 綺麗な身体をしている癖に余りにも最低な全裸姿の銀髪美少女は、全裸にさせられた私に近づくと、慣れた手つきで私の口を縛っていた口枷を解いてくれた。


「――ぷはぁ! けほっ、けほけほっ……!」


「大丈夫ですか、私だけの雪鶴さん?」


「大丈夫です――なんて言う訳がないでしょう⁉ 手錠ならまだしも私に猿ぐつわをする意味は果たしてありましたか⁉ あなた――」


「――あなた、は違いますわよね?」


 彼女への呼称としてそう呼ぼうとしたのだが、その呼称が実に気に食わないと言わんばかりの上機嫌そうな笑みを浮かべる彼女が私の台詞を黙らせるように動けない私の顎を摘まみ、無理やりに銀髪のクソ女の方にへと向けさせられた。


、でしょう?」


「っ……そ、そんな言い方、死んでも絶対に言わない……!」


「あらあら、いけない雪鶴さん。人の言う事を聞けないだなんて。本当に悲しくなってしまいますわ。こうなれば折檻がてら接吻と参りましょうか」


「接吻って……キス、じゃないですか……⁉」


「今後の学園生活の為にも身体にたっぷり叩きこまないとでしょう? 反論があるようでしたら是非ともお聞かせくださいますこと?」


 反論は、出来なかった。


「合意、ですわね。でしたら雪鶴さん。貴女の方から私の、貴女のお姉様の唇を奪いなさいな?」


 あぁ、もう。やだ

 本当にやだ。

 死にたいぐらい、やだ。


 こんな形で私のファーストキスが、15年間大事に取っていたファーストキスが、私を普通の女の子だという証が、こんなクソ女に奪われるだなんて、嫌だ。


 だけども、私の生殺与奪の権限は彼女に奪われている。

 

 だから、本当は嫌だけど、本当に嫌だけど、本能が勝手に動かないように身体を操ろうとしているけれども、私は自分の意思と理性を振り絞って、したくもない行為をする。


 わなわなと自由に動かせない身体を操り、私は銀髪のクソ女の唇に、汚水とゴミが入り混じる溝水に口づける様に、自分の唇を重ねてみた。


「……んっ……」


 只々、静かに唇が触れ合う。

 何の面白味のない粘膜同士の触れ合い。

 これで興奮するヤツの気が知れないやり取り。


 不思議な感覚だった。

 余りにも不思議すぎて最低という言葉が100回ぐらいつくぐらい最低最悪な感覚だった。


(最悪。最悪、最悪……最悪っ……!)


 彼女とキスをするのが死ぬほど嫌だったから現実逃避するように目を瞑ったのは失敗だった。


 視界が塞がれていると他の感覚が鋭敏になってしまう。

 目から見える以上の情報が、口の中に注ぎ込まれて私の全身という全身を犯しつくされてしまう。


 クソ女の癖に身体だけは最高で、名器と称してもおかしくないぐらい柔らかな唇の感触。


 シャンプーなのか香水なのかわからない、彼女だけの甘やかな香りが口を通じて私の中にどんどん入ってくる。


「んっ……んぅ……ぁ……ん……!」


(こんなの気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い……! 気持ち悪いだけ、だからっ……! 気持ち良くなんて、ない……!)


 心でそう叫んでも、彼女から与えられるものは全部が気持ち良い。

 認めたくないのに、彼女とこうして唇を重ねるのが余りにも気持ち良い。


 なんで。

 どうして。

 おかしい。


 だって、私は女だ。

 そして、相手は女だ。


 こんなの、気持ち良くなるの、絶対におかしい……はずなのに……!


「……ふふっ、ヘタクソですわね」


 まるで愛玩動物を愛でるような、そんな声。

 あのクソ女はそんな声も出せるのかと不意を打たれてしまった私は、次の瞬間、両手で頭を抱えられる。


「……にゃっ⁉」


 そのまま強引に唇を割って、舌が入り込んでくる。


 柔らかくて適度な弾力を持った舌が蛇みたいに私の口腔内を自由に動き回って、ここは自分だけの空間だと言わんばかりに私の口内を這いずり回って、舌を絡もうとしてくる。


「嫌、嫌、嫌っ……!」


 おかしい。

 こんなのおかしい。

 こんな、酷い事をされてるのに……どうして私は気持ち良くなってるの……?


「……あ、ん……」


 風のように不規則に動く彼女の艶やかな唇によって、私は気ままに弄ばれてしまう。


 触れ合わせるだけに留まらず、舐めたり、啄んだりと、多種多様な接吻で、したくもない興奮を強制させてくる。


 数多もの生物を魅了し、溶かし、陥落できるであろうそんな魔性のキスを、たった16年しか生きていない小娘の私に抵抗できる筈がなかった。


「んっ、んん……! んんっ……⁉ ん、く、っぁ……!」


 心の中がクソ女への恨みでいっぱいになって。

 身体の中がクソ女の匂いでいっぱいになって。


 私の身体を構成する情報の半分以上が彼女によって作り変えられてしまったような、そんな最低な感覚に私の身体が侵食されていって。


 自分が誰なのかも分からなくなってしまいそうになって、自分が誰のモノなのかが分からされてしまう。


 相手は同性で、しかもあのクソ女だって言うのに、こんな事はおかしいとは頭で分かってはいても、私の身体は唇を重ねる事に夢中になっていた。


 身体が言う事を聞いてくれない。

 身体が自分から快楽を貪っている。


 こんな経験は始めてで、どうすれば良いのか本当に分からなくて、私は本当は抵抗したい筈なのに、気づけば自分から彼女の唇を貪っていて……そうしている最中だって言うのに、彼女は私の唇から


「え……な、なんで……?」


「お姉様」


「……っ……!」


「ねぇ、雪鶴さん。かわいいかわいい私だけの雪鶴さん。お父様が私にくださった。私だけの従妹いとこ。貴女は私にどうして欲しいのでしょう? 賢い雪鶴さんなら、お願い、出来ますわよね?」

 

 最低。

 最低最低。

 最低最低最低……!


本当、最低……!


「……もうキスしないでください……お姉様……!」


「なるほど、貴女の気持ちは分かりましたわ。ですが、そんなにキスが物欲しそうな顔でそう言われて止めるほど、私は薄情者ではありませんことよ?」


「ち、違っ……! や、やめて……! 来ないで……!」


 嫌いだ。

 こんなクソみたいな女は、大嫌いだ。

 世界で1番、大嫌いだ。


 そう思いながら、私のファーストキスも、セカンドキスも、サードキスも。

 私の身体の何もかもがこの女に奪われた。

 

 ……渡した、と言ってもいいのかも、しれない。







~~~~~

すっごくエロく書けた!!!


現在進行形で書いておりますので、本作を応援してくださる方や、絶対無敵最強なお姉様との嘘と秘密に伏線だらけの百合ラブコメを見たいと思う方々は是非是非☆やフォローを押して頂けると作者の小説活動の励みになりますし、お姉様も笑顔でにっこり! 是非是非宜しくお願い致します!

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