第6話
第6話: 新たな協力者
ダンテとの会話は、ユウキにとって思っていた以上に興味深いものだった。箱庭の模型を使って、自然環境と機械技術をいかに融合させるかという彼のアプローチは、ユウキ自身の考え方と非常に近い部分があった。
「それにしても、ユウキさん、あなたのアイデアは素晴らしいですね。」ダンテが言うと、ユウキは少し照れくさそうに答えた。「いや、まだ試作段階だから、まだまだだよ。リナと一緒に試行錯誤しながら作っているんだ。」
リナも頷きながら、「ユウキさんが設計した機構は、予想以上に自然環境に溶け込んでいるんです。特に、この箱庭のような小さな世界での試作が上手くいったのは、彼の発想があったからこそ。」
ダンテはその言葉を深く受け止め、しばらく考え込んだ後、にっこりと笑った。「あなたたちの考え方には共鳴する部分が多いですね。私も自然と機械を調和させる研究をしているのですが、どうしてもこの世界ではまだそのバランスを取るのが難しい。だからこそ、あなたたちとの協力に興味があるのです。」
ユウキは一瞬、ダンテの言葉に耳を傾け、思案した。「でも、自然と機械の調和って、単に技術的な問題だけじゃなくて、もっと根本的な部分が関わってくると思うんだ。」
「例えば?」とダンテが興味深そうに聞いた。
ユウキは少し考えてから答えた。「例えば、自然の中で生きるものには、無駄のないエネルギーの使い方や、持続可能なサイクルが組み込まれている。でも機械にはその辺りが足りない。確かに高性能な機械は便利だけど、どうしても効率的すぎて、自然の美しさや、バランスが失われがちだ。」
ダンテはしばらくユウキの話に耳を傾け、目を細めて頷いた。「なるほど、そう言われてみれば確かに。無駄を省いて効率を追求することは、しばしば自然のゆっくりとした循環とは相容れない。しかし、だからこそ両者をどう調和させるかが、この研究の鍵なのですね。」
ユウキはその言葉に頷き、少し視線をリナに向けた。リナは穏やかな表情で、二人の会話を見守っていた。
「リナも言ってたけど、やっぱり機械は自然との調和が大切だと思うんだ。単に便利であればいいわけじゃなくて、そこにどれだけ自然のリズムを組み込めるかがポイントだよね。」ユウキはリナに目を向け、少し照れ笑いを浮かべた。
リナは笑顔で応じた。「そうですね。機械を作るなら、自然のエネルギーや動きに近いものを取り入れるべきだと思います。それができれば、もっと環境にも優しいものになるはずです。」
ダンテは二人の話をじっと聞きながら、少しだけ考え込み、「その通りですね。やはり自然に近いものが機械にも必要だと感じます。ただ、今の技術ではどうしてもその部分が足りていない。そこで私は、あなたたちの技術を使って、新しい可能性を広げたいと思っているのです。」
ユウキはその言葉に少し驚き、興味を持った。「新しい可能性?」
「はい。」ダンテは真剣な顔つきで答えた。「私が考えているのは、機械に自然界のエネルギーや力を利用する方法です。例えば、風力や太陽光を活用したエネルギー源はもちろんのこと、動物の動きや植物の成長過程から得られる自然のリズムを機械に取り入れることができれば、今までにないような調和の取れた技術が生まれるのではないかと思っています。」
リナはその考えに感心しながらも、少し疑問を呈した。「でも、そんな調和を取るためには、どれだけの技術と時間が必要なんでしょうか? 現実的に考えても、かなり難しい課題だと思います。」
ダンテは少し微笑みながら答えた。「確かに、今すぐに完成するわけではありません。しかし、技術の進歩は日々続いています。今はまだ実現できていなくても、必要な知識を共有し合えば、必ず道は開けると信じています。」
ユウキはその言葉に頷き、心の中で決意を固めた。「わかりました。僕もそのアイデアには興味があります。もし一緒に研究を進められるなら、ぜひ協力したいです。」
リナもその提案に賛同し、軽く笑顔を浮かべて言った。「私も協力します。新しい技術が生まれる瞬間は、いつでもワクワクしますから。」
ダンテは二人の反応に満足そうな顔をし、力強く手を握りしめた。「ありがとう。これからが楽しみです。」
こうして、ユウキとリナはダンテとの協力を決意し、新たなプロジェクトが始まることとなった。その先に待っているものが、どんな技術革新であろうと、彼らの心には確かな希望が芽生えていた。
箱庭と機械と工学と みなと劉 @minatoryu
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