第12話 実
朝、布団の中でぼーっとしながらデイリーミッションとポイント交換画面だけはチェックする。
さてさて今日のデイリーミッションは?
NEW デイリーミッション
・声に出して挨拶を10人とする 10ポイント
・牛乳をコップ一杯飲む 8ポイント
・6キロ歩く 7ポイント
・5人以上に頭を撫でてもらう 5ポイント
6キロ歩くを見て思い出す。
あ、そうだ。ポイントが増えてれば、街まで3キロ以上かがわかるんだった。
頭を撫でてもらう、も器回収時にいけそうだ。
ポイント画面をチェック。
ポイントを使う
保有ポイント 30004P
ポイント交換
・ステータスの実
・スキルの実
・ガチャ券
・ギル
・商品
おお、ポイントが4増えてる!
素早さの実に交換したから、30000ー3で29997ポイント。それに6キロ歩くの+7で30004だ!
街までは3キロ以上あるってことだね。
今日も街に行く予定だから7ポイントと、頭を撫でて貰えば合わせて12ポイント稼げるはず。
そういえばあの素早さの実、どうしよう?
院の庭に勝手に埋めてもいいものかな?
育つまでにどれくらいかかるんだろう?
「ミルカ、おはよう。眠いの? 顔を洗っておいで。アドと一緒に」
おはようの合図にみんなのほっぺたを触っていく。
エバ兄たちの当番の仕事が早くに終わったので、その足で街へと向かった。
わたしたちが行った時には、立ち食いラーメンに長蛇の列ができていた。お兄さんはみんなから早く始めてくれと急かされて、孤軍奮闘していた。
アドとわたしが注文とりと会計に入る。
わたしは声を出せないからそういうのには向かないんだけど、計算はアドより早くできた。ま、200ギルだから大きなお金を崩す人もそういるわけでもなく、わたしたちで十分だった。
ほぼアドに任せ、わたしは空いた器の回収に、その器やフォークを洗う作業に勤しんだ。
わしゃわしゃと頭を撫でてもらったから、ポイントをゲットしたはず!
次の日は120食、その次の日は170食と売り上げは伸びた。
ダンジョンに入る前や後でこの麺を食べると力が沸いて元気になると喜ばれた。
これも誰かに気づかれてしまう前だからできることだけど。
院の自由時間はここに来て、立ち食いラーメンを手伝った。
エバ兄もフォン兄ももう職人のように袋ラーメンを作ることができる。
わたしとアドは火を扱うのは危ないと締め出されている。
アドは運べるけど、わたしは許されていない。確かに熱いものが入っているのも手伝って、重さと熱さで手が震えてしまうから。
元手はみんなが置いていったものなのでほぼタダ。そして200ギルで飛ぶように売れる。
お兄さんは店がこんなに流行ったのは初めてだと、ちょっと興奮していた。
お店を手伝うと楽しいけれど、わたしが一人になる時間が作れず、発声練習も、ポイントのあれこれもできなくてもどかしい日が続いた。
立ち食いラーメンをやるようになって、ダンジョン屋に人が入ってくるようになった。増えた客層は女性。それがね、きっかけがわたしのシュシュだった。
その髪に結んでいるのはなんだと言われ、アドがダンジョンから出たものと答えてくれたところ、女性が掘り出し物を目指して探しにきた。
商売の匂い!
シュシュは他に数個しかなかったからね。早々に売れちゃったし。
わたしはお兄さんに提案した。
まずここの商売をするにあたり、どんな手続きや方法が取られているかがわからなかったので質問した。
お店を持つには商業ギルドに入って、一定の利益を上げることが条件なんだとか。
軽くいろんな商売の説明を聞いたところ、物を売るには商業ギルドのお墨付きが必要で、ランク分けがあり、お店の規模なども決まってくるようだ。
商業ギルドに入れば、お店は持たなくても、露店で物を売ったりもできる。露店オッケーな場所でやることになるし、その場所代は払うことになる。
お兄さんはこの規模のお店をやる信用を勝ち取っていたんだね。わたしたちはそれに便乗させてもらっているんだ。
商業ギルドはいろいろ相談に乗ってくれるみたいだし、特許のような制度もあるようだ。なのでわたしはお兄さんに打ち明ける。
このシュシュは売れる。シュシュはもうないけれど、ゴムがあったから、裁縫のできる人がいれば布とゴムとでシュシュを作ることができる。シュシュの特許をとるのと、裁縫できる人、守秘義務ありで探すのはどう?と。
もしそれが叶ったら、ゴム入りの下着を作れる道筋が!とは心の中の声だ。
お兄さんは悪くないと思ったのか商業ギルドに話をつけに行ってくれた。
店番を任されたものの誰も来なかったので、みんなに聞いてみる。
ーー実ってどんな使い道がある? 植えるだけ?
「実って木の実?」
実質は違うけど、どんぐりみたいな見かけだからうなずく。
「食べられるのもあるんじゃない?」
食べる?
おお、なるほど!
そっか、それはありそうだ。植えるなんて気の長い話だもの。
よし、今日食べてみよう。
「何か見つけたの? だめだよ、なんでも口に入れたりしちゃ」
「ミルカ、袋にどんぐり持ってた」
アド、いつの間に見たんだ?
「そうなの?」
ファン兄に袋を取られた。中を探ってどんぐりのような実を取り出す。
「どんぐり? 今の季節? でも初めて見る、かな?」
「お腹が空いても知らないものは食べちゃだめだ。お腹を壊すかもしれないよ」
それは素早さの実のはずだから、食べてもきっと大丈夫なはず。
透明のボードはわたしだけが見えるようなので、そのボードから飛び出してきた実は実体化している気がするけれど、他の人も見えるものなのかと、ちょっと不思議に思っていた。けど、これで証明だ。実体化したものは、わたし以外にも実体化されていた!
「いい、食べちゃだめだよ?」
エバ兄が真剣な目で見ている。
わたしは視線をずらした。だって、きっとそれ食用なんだよ。素早さの実で貴重なポイントと交換したものなんだから。
と思っていると、ファン兄の手からエバ兄の手に移動した素早さの実を、アドが掴んだ。そして口に入れた。
え?
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