魔法Remix ~狼×人間の異世界何でも屋~

稲城 博世

第1話 奇妙な依頼人

 此処は、とある世界の地方の都市にある何でも屋。この何でも屋は魔法使いの狼の獣人「ゼノ・ヴァール」が冒険を引退した為に収入ゼロとなり生活できなくなり掛けた為に立ち上げたのである。一応それなりに儲かっているらしい。そんなこんなで彼は今、自分の前に高く積み上がった書類を整理するのであった。


 (魔王を倒してから早200年。全くいつまでこの世に生きたまま存在するのか……)


 俺は机に向かい淡々と書類を片っ端から片付けながらそう考える。いつだか忘れたが禁書の解呪途中に魔力が変に流れて呪いをかけられたんだっけ。確かあの後本は封印したけど今何処にあるのかなぁ……解呪途中だったし読んでみたいなぁ。

 そのまま時間が流れていき体感一時間位かなと思い顔を上げると窓からは朝日の光が差し込んでいるのであった。


 「——やってしまった。もう朝か」


 ゼノは椅子から立ち上がり窓へ向かい全開にする。季節が冬なので寒い空気が入ってくる。彼が息を吐くと白い煙が立ち上ぼり結構気温が低いことがそれを見ると分かる。


 彼は扉を開けると上の看板に目をやる。そこには『何でも屋 Rimix』と書かれていた。霜で白くなっているがゼノが炎を出すと溶けて元々の色合いの看板となった。その流れで郵便受けを覗き込むと封筒が一つ入っており、ゼノはそれを取り出して差出人を確認したが何も書かれていなかったのでそのまま適当にポケットに突っ込むのであった。そして、扉を開けて中に入る。


 彼の1日の業務としては基本的に書類を片付けながら依頼者の対応をする。よく飛んでくる依頼はジャンル問わずで、家の掃除から魔結晶電球交換(魔力を固めた結晶に魔力を流すと光る性質を利用した電球。交換時は魔力が扱える者が行う。)

警備や魔法講師、魔物討伐半グレ集団・暴力集団の取り壊し……を行っている。

 この中で彼的には一番簡単なのが半グレ集団・暴力集団の取り壊しであり理由は彼……ゼノの身長が180cmあり体格も良いのでまず彼に手を出すことはない。又、この都市に存在する大体の集団は彼に一回壊滅状態まで追いやられたり、追いやらせそうになったので自分から手を出したくないのである。まさに「触らぬ神に祟りなし」である。


 ゼノは、そのまま書斎に戻り続きの作業をしようと歩き出すが扉を叩く音と共に声が聞こえてくるので立ち止まって振り返り扉の外にいる見えない来客に向けて言うのであった。


「鍵掛かってないので中にどうぞ」


それを言うと来客は悟ってくれたようで扉を開けるのであった。そして、その来客の姿がゼノの目にはっきり写る。

 魔法使いのような見た目をした少女?(17歳程で、身長167cm)がゼノの目に写ったのであった。ここに来る理由が分からなかったので少し不審に思う。少しの間が空くと少女は話し始めるのであった。


 「リミア・ネルストミと申します。先日こちらに送りました封筒を送った者です」


「封筒ってこれ?」


ゼノはそう言いポケットに突っ込んだ封筒をとりだす。それを見た少女は頷いて又話し始めるのであった。


「依頼内容なんですけれども……」


少しの間が空くと少女は急に頭を下げてゼノに言うのであった。


「魔法を教えてください」


「――うん。別に良いけど……。ちょっといきなり言われてもあれだから一旦全て説明してくれる?」


そう言い少女をソファーの方へ手招きして座ってと言う。そして、少女が座ったのを見るとゼノも向かいの席に座り話し始めるのであった。


「じゃあ。まず1つ目、なぜ俺の事を知っている?」


to be continued

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