まさか…

天川裕司

まさか…

タイトル:まさか…


夜遅く道を歩いていた私。

残業の帰りで、早く家に帰ろうとしていた。


でもその時、いつも歩いてる道の前方を見ると

何か黒いものが地面にうずくまってる。


なんだろうと思い近づいてよく見ると…

「き…きゃああ!」

思わず小さく悲鳴をあげた。


血だらけの子供が横たわっていたのだ。

私はすぐ警察に通報。


(現場捜査)


「本当に怖かったです…。いつも通る道を歩いてたらちょっと離れた所に誰かがうずくまってるような感じで居て、それで近づいて見たらこの子で…」


警察1「この子と面識は無かったんですね?」


「ありません」


警察2「刃物でやられてますね…」

警察1「少し向こうでお話をお聞かせ下さいませんか?」

「あ、はい…」


私はそれからありていの事情聴取を受けた。


警察1「誰かを目撃したとか、そう言うのはなかったですか?」

「…いえ、ありません。来て見たら、あの子が倒れてました」

警察1「そうですか。では歩いてる時に悲鳴のようなものが聞こえたとかそう言うのは?」

「…いえ、多分何も聞こえなかったかと…」


それから1〜2時間ほど事情聴取が続き、

警察は私を帰そうとした。

でもその前に所持品検査をされた。


「どうしてですか?なぜ私がそんな事を?」

警察2「いや済みませんね、これも捜査の一環なんですよ。あなたは第一発見者でもありまして、その辺りを隈なく調べなきゃならないので」


よく分からなかったけど、

とりあえず私は言う通りにした。


「あの、私もう早く帰りたいんですけど…。なんだか怖くて、今でもちょっと震えてるんです…」


警察1「あすみません、もう終わりますので」

温かい笑顔でそう言ってくれた警察の人。


でも、私は逮捕された。

刃物はそこからずいぶん離れた

公園の茂みの中から見つかった。


(取調室)


警察2「おおかた小遣いでもあげると言って、あの子をあの通りまで連れて来たんでしょう?」


警察2「あなたの財布の中に、なぜあの子の指紋の付いた紙幣が紛れ込んでたんですか?その辺りを詳しく話してください」


(後日)


警察2「やっぱり最初から怪しいと思ってたんですか?」


警察1「ふむ。残業帰りと言ってたが、あの時間帯は遅過ぎるだろ。警察に通報する事で、自分の善意を装って居たんだろうな」


警察2「にしても所持品検査なんて」

警察1「あれも長年の経験だよ。犯人なら自分の潔白を証明しようとして、何もかもを先ず明るみに出す習性がある。前の研修でも習ったろ?」


警察2「犯人にとっては、まさかあんな形でボロを出すとは…ってな感じでしょうね」


警察1「まぁ一種の賭けではあったがな。でもその犯人を逃すよりゃましだ」

警察2「…ちょっとクビを覚悟してましたよね?」


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=mPc3FHuFdO8

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

まさか… 天川裕司 @tenkawayuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ