同じ科挙を受けた友、残ったのは一人……。
切なくも温かいお話でした。
自分が巨人になれなかったとしたら、残りの奴が巨人になれ、すごくいい言葉ですね。
死んでも残された友の中に記憶として残り続けているところが味わい深いです。
恥ずかしながら中国史に詳しくないのですが、他の方のコメントを見た感じ、史実に基づいたお話なのでしょうか?
きっとこの時代、友が死ぬことは珍しくないのでしょうね…。
短い中で綺麗にまとめられていてすごいなと思いました。素敵な物語をありがとうございます。
作者からの返信
実は、このお話は王陽明の伝記に実際に書かれていたエピソードを脚色したお話です。
王陽明がそういう夢を見た、というのが元のお話だったんですが、「自分が巨人になれなかったとしたら」のあたりは私の創作です。
そのあたりをお褒めいただき、嬉しい限りです。
その伝記には、科挙を受けた時の夢の話があって、それで王陽明が役人になって、いろいろあって、そして寧王の乱が起こり、同郷の友人が犠牲になった、と書かれています。
夢の話はフィクションかもしれませんが、王陽明の友人が殺されたのは史実のようです。
明という時代は、功臣や役人もわりとあっさりと殺される時代なので、きっと命懸けで務めていたと思います。
そういう中でも、友の想いを受け継ぎ、行動する王陽明の素晴らしさを伝えられたらなぁと思って書きました。
こちらこそ、素敵なコメントをいただき、ありがとうございました!
こんにちは、四谷軒さま
とても引き込まれる時間でした。
静かな語りで、文章から視線を外せなくなりました。
3人が同じ夢を見るのは、時代に選ばれた人たちですよね。
夢を叶えることなく、命を落とした二人の生きざまが、凜としていた姿が、作中から伝わります。王の戦いぶりに、戦況に、もう大満足です。
ありがとうございました。
作者からの返信
お星様、ありがとうございます。
たまにはショートで、こういう話を書いてみようと思いまして。
三人とも同じ夢。
それはきっと、国難に立ち向かうためのきざしだったんでしょう。
孫と胡の二人はおのれの夢に忠実に生きて、そしてその生を完遂しました。
二人の夢を継いだ王陽明は、まさに巨人と化して、国難へと向かいます。
こういう夢を受け継ぐ者たちの話が好きなので、私も書いていて大満足でした^^;
ありがとうございました。
コメント失礼いたします。
短編のはずなのに、なにか壮大な物語を読んでしまったような……そんな気持ちになりました。
科挙の夜、わずかな時間話しただけの三人の人間。
なのに「もしおれが巨人になれなかったとしたら、残りの奴が巨人になれよな」なんて、まるで長年の友とかわす台詞のようです。
ラストは胸が熱くなりました。
たいへん読みやすく興味深い作品をありがとうございました!
作者からの返信
お星様、ありがとうございます。
あの時のことが、将来のあの展開につながる……そういうお話を目指して書きましたので、その辺が壮大さにつながったのかもしれない、と思っております^^;
王陽明が巨人の夢を見たのは、そう伝えられていますけど、残りの二人が同じ夢を見たことと、会話したことは私の創作です。
こういう風にした方が、ドラマになっていいかなと思いまして。
そして将来の戦乱において、王陽明があの時の会話を胸に戦う……これもドラマになると思って書きました^^;
その辺をお褒めいただき、うれしい限りです。
こちらこそ、ありがとうございました!
中国史は史記ぐらいしか存じ上げないのですが、楽しく読ませていただきました。
巨人の夢は完全な創作でしょうか、それに「瑞兆」…めでたい兆し。こういうワードをすらっと書けちゃうのはすごいです。相当勉強されているのでは、と身が引き締まる思いになりました。カクヨム今後のご活躍お祈りしております。 ※よろしければ拙作の短編のほうもお立ち寄りいただけますと嬉しいです。
作者からの返信
お星様、ありがとうございます。
中国史の、しかもかなりマイナーなところのお話を読んでいただき、ありがとうございます。
巨人の夢については、王陽明の伝記に伝えられていることです。
王陽明が寧王を討つ時に友を失ったことは、その夢とリンクしている、という伝われ方でしたので、そこを描かせていただきました。
「瑞兆」は、もしかしたらその伝記に載っていたかもしれませんので、実は勉強の結果ではないと思います^^;
ご祈念、ありがとうございます。
御作の方、あとで立ち寄らせていただきます!
ありがとうございました。
頼朝の長編を執筆されておられる最中に何故短編? と思いましたが、カクコン10の企画参加と知って納得しました。確かに科挙は紛れもなく「試験」ですね。
企画開始から一週間でこんな作品をものする知識と技量、ただただ驚くばかりです。どのくらい驚いたかは、(また暴走気味の)レビューに書いておきました。アオリ文は陽明学のエッセンスとも言うべき「知行合一」の超訳のつもりなので、もしネタバレに該当するとご指摘いただければ修正します。
陽明学は「行動の教え」だと、確か司馬遼太郎の何かで読んだ記憶があります。本作ラストの果敢な「行動」も、自らの教えに従った必然の行動だったのでしょうね。
作者からの返信
頼朝のお話は、実は脱稿しています。
私は完結してから投稿するタイプなので、少し余裕があったのです^^;
それで、歴史もので「試験」と来れば科挙という偏見で、ネタを漁ったのです。
ちなみに王陽明については、過去に書いたことがあり、そこでオミットしたエピソードがあったことを思い出して書いたので、ある意味楽でした。
でないと、一週間でこんなに書けません(笑)
レビューについては、もちろん、大丈夫です。
ネタバレについて申し上げるならば、実はタグに……ごにょごにょ(笑)
いやでもパワフルなレビューをいただいて、感無量です。
たしかにカクヨム運営さん、短編ブートキャンプに「試験」を持ち込むなんて、仕事する人もアレですし、受験生も今まさに迫り来る試験にアワアワしているのに、凄いことするなぁと思います^^;
そんなわけで科挙です。
実はこんな夢を見たことは、伝えられていて、寧王の乱は王陽明にとってかたき討ちだった、ということになります。
そしてむろん、「行動」ですよね……こんな速攻決めるなんて、まさに行動派と思います。
こういうことやっちゃうから、後世にも日本にも、「あの人の言ったことだから」とみんなその教えに耳を傾けるようになったのでしょう。
ちなみに私も司馬遼太郎の作品で、陽明学は行動重視、みたいなのを読んだ記憶があります。
たしか「峠」だったと思います、河井継之助の。
読んだ時は「フーン」と思ってましたが、あとでこういう話を書いて、「まさか王陽明がホントに行動派だったなんて」と今さらながらに感心した次第です^^;
ありがとうございました!
この三人、同郷(郷試が行われる範囲で)なんですね。
後に儒学史に「巨人」として名を残す王さん、このときは朱子学に従って答案を書いたのかな?
そして、亡き友のために行動した経験が、知行合一の信念につながった?
おもしろかったです。
作者からの返信
おそらく同郷ですね。
王さんは最初は朱子学に親しんでいましたから、おそらくそういう答案を書いたんじゃないかと思います。
そして時を経て、同郷の二人を失ってしまった王さん。
この二人のためにも……という戦いが、あの哲学につながったのかもしれません。
あとは、僻地へ追いやられた時、胃腸を病んだ従者のためにお粥を作ってあげて、それで行動することに目覚めていった、とも言われています。
また、レビューありがとうございます。
とにかく短めにしようと思って、オミットした説明や経緯をわかりやすくまとめてくれて、そして最後に「巨人」は誰なんだ? ……と思わせる、ナイスなレビューだと思います!
さらに、この方を描いた別の拙作のリンクを貼っていただいて、ありがたい限りです。
リンクを貼ろうと思ったんですけど、やっぱネタバレになるかなと思って、諦めていたので^^;
ありがとうございました!
陽明学の祖、王陽明でしたか! さすが行動力は神速なのですね!
作者からの返信
お星様、ありがとうございます。
こういう夢を見た、と伝えられているんです。
以前に寧王の乱を描いた時にオミットした話ですが、今回、機会を得て書かせていただきました。
たしかにこの時の王陽明の討伐は異常に早い^^;
さすがの行動力だと思います!
ありがとうございました。
一炊の夢、の方かと思いましたが…
陽明さん、そういえば一度、科挙に落ちていましたね。
二人の巨人は、孫と胡出会ったのかもしてませんね。
作者からの返信
そういえば、一炊の夢もありましたね。
その手があったかと、今さらながら膝を打ちました。
王陽明、何と科挙に落ちていたんです。
その他にもいろいろと挫折はあるんですが、それでも進んでいくところがこの人の素晴らしさです。
ふたりの巨人は、おそらく孫と胡に会っていたと思います。
また、すばらしいレビュー、ありがとうございます。
孫と胡は、夢のため、そして官人として本義を示すために、命を賭しました。
同じく馬援になりたいと言っていた変人(?)も、彼らの弔いのため、夢のため、巨人と化して、本懐を果たしたと思います。
ありがとうございました!