第22話 お任せください、ご主人様

朝日が街並みを照らす中、リュシアと一緒に市場へ向かった。次の冒険に備え、必要な装備品を整えるためだ。この街の市場は活気にあふれていて、装備品だけでなく、食料や日用品まで多種多様な商品が並んでいる。


「ご主人様、今日はどのような装備をお探しですか?」


リュシアが微笑みながら尋ねてくる。その声は穏やかで、冒険の準備に向けてのやる気をさらに引き出してくれるようだった。


「そうだな。前回の冒険でちょっと思ったんだけど、防具が少し軽い方がいいかもしれない。動きやすいのが欲しいな。」


「かしこまりました。それでは、軽量でかつ防御力の高い装備を見つけましょう。お任せください、ご主人様。」


リュシアは俺の意見を聞きながら、手際よく市場の装備品が並ぶエリアへと案内してくれる。その途中、目を引く品があれば立ち止まり、必要に応じて店主に質問している。その一つ一つの動きが非常にスムーズで、俺がすることはほとんどなかった。


「こちらはいかがでしょうか? 軽量な素材で作られており、胸部や肩の防御力が特に強化されています。」


リュシアが手に取った防具は、見た目もスマートで動きやすそうだ。黒を基調としたデザインで、派手すぎず落ち着いた雰囲気が俺の好みにぴったりだった。


「いい感じだな。でも、サイズとかどうなんだろう?」


「ご安心ください。ご主人様のサイズは私がしっかり把握しております。試着してみていただけますか?」


リュシアの自信に満ちた言葉に従い、防具を試着してみる。驚いたことに、体にぴったりフィットしていて、動きやすさも申し分なかった。


「ぴったりだな……リュシア、これすごくいいよ。」


「ありがとうございます、ご主人様。次の冒険ではきっと役立つと思います。」


リュシアが嬉しそうに微笑む。その表情を見ていると、彼女の選んでくれたものなら間違いないという安心感が湧いてきた。


次に、武器のコーナーへと向かう。今使っている剣はまだ使えるものの、より扱いやすいものがあれば検討したいと考えていた。


「ご主人様、こちらをご覧ください。この剣は軽量ながら、刃の強度が非常に高く、耐久性に優れているそうです。」


リュシアが選んだ剣を手に取ってみると、確かに軽くて扱いやすい。試しに振ってみると、バランスも良く、これなら冒険で使いやすそうだと感じた。


「これもいいな。リュシア、やっぱりお前の選ぶものに外れはないよ。」


「ありがとうございます、ご主人様。ご主人様のお役に立てるものを見つけることができて、私も嬉しいです。」


装備を一通り揃え終わると、リュシアがふと足を止めた。


「ご主人様、冒険の道中で役立つ食料やポーションも購入しておきましょう。万が一の時のために備えておくのが大切です。」


彼女に促され、保存の効く携帯食料や回復ポーションもいくつか購入することにした。その選定もリュシアがほとんど行い、俺は彼女に完全に頼りきりだった。


「リュシア、なんか全部お前に任せっぱなしだな……。」


「それで良いのです、ご主人様。私はご主人様をお支えするためにおりますから、どうぞお気になさらず。」


リュシアが微笑みながら言う。その一言で、頼りきりだったことへの後ろめたさもすっと消えていった。


買い物を終え、通りを歩いていると、リュシアが小さな屋台の前で立ち止まった。そこには可愛らしいデザインのアクセサリーが並んでいる。


「ご主人様、こちらのアクセサリーもお似合いになるかと思います。戦闘の役には立ちませんが、お守り代わりとしていかがでしょうか?」


「アクセサリーか……特に考えてなかったけど、リュシアが選んでくれるなら見てみたいな。」


リュシアが手に取ったのは、シンプルながらも洗練されたデザインのブレスレットだった。試しに手に付けてみると、意外にも馴染む感じがして悪くない。


「これ、いいかもな。ありがとう、リュシア。」


「とんでもございません。ご主人様にお似合いで嬉しいです。」


リュシアと一緒に買い物をする時間は、ただ装備を揃えるだけでなく、彼女との穏やかな交流を楽しむ特別なひとときだった。装備も揃い、準備が整ったことで、次の冒険への期待がますます膨らむ。


「これで次の冒険も万全だな。リュシア、ありがとう。」


「ご主人様が快適に冒険を楽しめるよう、これからもお手伝いさせていただきますね。」

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