第4話 やれるところまでやる
リュシアと一緒にダンジョンに向かいながら、俺は彼女に現代ダンジョンについて尋ねていた。
「リュシア、この世界のダンジョンって、どういう仕組みなんだ?」
「ご主人様、ダンジョンはこの世界の基盤とも言える存在です。内部にはモンスターが生息し、それを討伐することで素材や財宝が手に入ります。また、ダンジョン自体がエネルギーを供給しているため、街の生活を支える重要な資源となっています。」
「なるほど、じゃあ俺たちが向かってるそのダンジョンも、街にとって重要な場所なんだな。」
リュシアは頷いた。
「はい。『影森』と呼ばれるそのダンジョンは、初心者に適した場所ですが、油断は禁物です。」
俺たちは影森と呼ばれるダンジョンの入り口に到着した。周囲は鬱蒼とした木々に覆われており、薄暗い雰囲気が漂っている。俺は武器を握りしめ、リュシアに声をかけた。
「準備はいいか?」
「はい、ご主人様。どうかお気をつけください。」
ダンジョンの中に一歩踏み入れると、冷たい空気が肌に触れた。湿った土の匂いが漂い、足音が反響するほどの静けさが広がっている。
「ここ、本当に初心者向けなのか? なんか不気味だな。」
「ご主人様、初心者向けとはいえ、モンスターがいないわけではありません。音や動きに注意を払いながら進みましょう。」
リュシアの言葉に従い、俺は慎重に足を運んだ。しばらく進むと、茂みの奥から何かが動く気配がした。
「リュシア、何かいるぞ。」
「はい、ご主人様。前方にモンスターの気配を感じます。おそらく小型の獣型モンスターでしょう。」
緊張しながら前方を見つめていると、茂みから現れたのは狼のようなモンスターだった。その鋭い牙と赤い目が威圧感を放っている。
「来たか……リュシア、どうすればいい?」
「ご主人様、まずは距離を取りながらモンスターの動きを観察してください。その間に隙を見つけ、攻撃を仕掛けましょう。」
俺はリュシアの指示に従い、モンスターの動きをじっと観察した。すると、モンスターが突進してくる瞬間を見逃さず、横に回避した。
「今です、ご主人様!」
リュシアの声を合図に、俺は武器を振り下ろした。鋭い一撃がモンスターを捉え、その場に倒れる。
「やったか……?」
「見事です、ご主人様。ですが、まだ奥にモンスターがいる可能性があります。慎重に進みましょう。」
リュシアと共にさらに奥へ進むと、突然、広場のような空間に出た。そこには複数のモンスターが待ち構えていた。
「これ、全員相手にするのか?」
「ご主人様、一体ずつ対処するのが得策です。私が注意を引きつけますので、その隙に攻撃してください。」
リュシアは身軽な動きでモンスターたちの注意を引きつけ、その間に俺は一体ずつ確実に仕留めていった。戦いが終わるころには、息が上がっていたが、リュシアの冷静な指示がなければ勝てなかっただろう。
「ご主人様、大丈夫ですか?」
「なんとか……ありがとう、リュシア。お前がいなかったら危なかった。」
「お役に立てて光栄です。これで影森の第一層はクリアとなります。次の層に進むか、一度戻るかはご主人様のご判断にお任せします。」
俺は少し考えた。体力の消耗は激しいが、ここで引き返すのは悔しい。次の層に進む決意を固め、リュシアに告げた。
「次に進もう。ここまで来たんだ、やれるところまでやる。」
「承知しました、ご主人様。どうかご無理はなさらず。」
リュシアの言葉に励まされながら、俺たちは影森の次の層へと足を踏み入れた。そこにはさらなる試練が待ち受けているに違いない。
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