(13)

 デモ隊の近くには……見覚えのある人が何人か……。

 イベントで良く見掛ける人達だ。

 と言っても、ファンじゃない。

 魔法少女の運営の人達だ。サインシャイン&マリンのマネージャーさんも……あれ?

 そこに、何と言うか……目立つ格好だけど、変とまでは言えないよ〜なビミョ〜な服装の女が、魔法少女の運営の人達の一団に近付く。

 真っ赤なサングラスで正確には判らないけど……二十後半か、せいぜいアラサーぐらいの女。

 そして、真っ赤な革のコートを、まるでモデルか何かみたいに……イケてる感じで着込なしてる。

 その女は、魔法少女の運営の人達に名刺らしいモノを渡し……けど……。

 真っ青だ。

 名刺らしいモノを見た魔法少女の運営の人達の顔色が……真っ青に変っていく。

 俺の横で、冬の最中に、Tシャツ一枚になってる中島の肌より真っ青だ。

 サインシャイン&マリンのマネージャーさんが、慌てた様子で、どこかに電話。

 謎の女は、魔法少女の運営さん達の、そんな様子を気にする事もなく、去って行き……。

 何かが……変だ。

 俺は、携帯電話ブンコPhoneを取り出して、動画撮影開始。

「え……えっと……魔法少女弾圧への抗議デモの現場に、何か、怪しい奴が居たんで尾行し……あ〜、マジか、このアンテナの本数じゃ……リアルタイム中継は無理そうなんで、後で、動画サイトにUPします」

 俺は、携帯電話ブンコPhoneに向って、そう説明。

「お……おい……怪しい奴って、誰だよ?」

 中島の声を無視して、俺は謎の女を追い掛ける。

 デモ隊を掻き分けながら……ひたすら追い続ける……。

 しまった……見失っ……おっと、あの目立つ格好だから……すぐに見付け……。

 いや、待て、わざと目立つ格好をして逆に罠にハメるってのを、この前、経験したばかりじゃないか。

 あれが……さっきの奴と似た格好をしただけの別人じゃないと何故、言い切れ……?

 ん?

 目立つ格好をした奴が、もう1人現われた……。

 まるで……俺の推し魔法少女「サンシャイン&マリン」みたいな……鮮かな……赤と青。

 青いバイク。

 青地に白のプロテクターのライダースーツ。

 青地に白い模様のフルフェイスのヘルメット。

 ヘルメット側面の白い模様は……遠目には「流れる水」に見えたが……近付くと……龍だ……。

 バイクに乗ってる奴は……小柄な女。

 そして、その女は……赤いコートの女の近くにバイクを止める。

「あら……久し振りね……」

「やはり……お前の能力を使えば、私が誰か判るのか?」

 何だ?

 知り合い?

 でも、仲間じゃなさそうな会話。

 ポン……。

 誰かが俺の肩に手を置く。

「うわっ‼」

 そいつは……自分の唇に人差し指を当て……。

 フード付の地味なコート……。そのフードで顔を隠してるが……土屋?

「青いバイクの奴、さっき『お前の能力』って言った?」

「う……うん、言った」

「変だよ。使

「えっ? おい、この前の……『魔法使いかどうかを調べる魔法』を使ったのか? それ、相手が『魔法使い』だったら、使った事が相手にバレるんじゃ……」

「結果オーライ。どっちも『魔法使い』じゃ……あれ……何か変だ……えっ? うそ……本当だったの?……で……でも……」

「どうした、おい?」

「『使……」

「どっちがッ?」

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