第1章:罪深き少年たち
(1)
やったのは俺じゃないとは言え、重過失による死亡事故の現場に居合せたせいで、夕方ごろまで警察で事情聴取される羽目になった。
「姉さん、家まで送ってくれ」
「阿呆、駅までなら送ってやる」
「どこの?」
「
「
「え〜?」
「小倉からの方が、本数多いんだよ」
「仕方ねえな……」
警察署の駐車場では、さっきの謎の女2人が、そう言いながら、ミニバンに乗り込んでいた。
齢下の方が、もう1人を姉さんと呼んでるが、家は違うらしい。……多分、齢の離れた従姉妹か何かなんだろう。
「あ……あのさ……池田くん……」
俺と同じ事故現場に居た女2人が乗った車が、音もなく走り去った時、背後から聞き覚えが有る声……。
「あ……っ……」
萌え系アニメに出て来ても違和感がないような髪型や格好をしてる女の子は居る。休みの日なんかに繁華街やショッピング・モールや小倉駅や門司駅・
でも……そう云う女の子は、何故か、キツめの顔の……何と言うか……ヤンキー系? そんな場合が多い。あと、俺みたいな萌えオタからすると化粧が濃過ぎたりとか……。
けど、ここに例外が居る。
クラスメイトの
顔は……正統派の美人……正統派の可愛い……ああ……。クソ……小説投稿サイトに、小説を投稿してるけど……ああ、駄目だ、俺には文才が無い。杏さんの顔を描写する語彙が……俺の脳味噌には決定的に欠けている。畜生、志望校を文系に変えて、本格的に国語の勉強をやるべきかも……。
「ちょ……ちょっと、今日の事……学校には……その……」
「う……うん、大丈夫、何も言わない」
「杏……何やってんの?」
次なる声の主は……同じくクラスメイトの土屋
杏さんと、良く一緒に居て……出来てるんじゃないか、とかロクデモない噂をしてる奴も居る。
「い……いや……何って……」
「どうせ、学校に連絡行ってるよ。今から先生への言い訳考えとこ」
2人が並ぶと、ロングヘアの杏さんの方が若干ボーイッシュに、ショートヘアの愛莉の方が女の子らしく見えるが……性格がキツいのは愛莉の方だ。
そして、愛莉は……これ見よがしに……「この子は私のモノだ」と見せ付けるかのように……杏さんと腕を組む。
「ちょ……ちょっと、愛莉ちゃん……」
「いつもやってる事で、何で慌てんの、さ……帰ろ」
「あの……良かったら、送るよ……暗くなるし……」
「まだ、5時前。ネットで調べたけど、今日の日没まで三〇分ぐらいある」
「いや……でも……」
「大丈夫……私が付いてるから……だって……私達……
……。
…………。
……………………。
えっ?
「あのさ、あんな『僕はウェ〜イ系と違って大人しいんですぅ』って自分で思ってるような男の方がタチ悪いよ。特に別れ話の時とか……」
愛莉は……聞こえよがしに、杏さんに、そう言った。
「愛莉ちゃん……何で、知ってんの?」
「浮気してる訳じゃないからね」
「そんな事訊いてないッ‼」
「
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