第3話 巨乳女子高生の想い人 森崎狂四郎の身辺調査

「いや、急に赤くなって、汗かいてるし、霊界タブレットで調べたら、心拍数がいつもの2倍位になってたから、もしやと思ったんだが……」


「……!勝手に人の事観察したり、心拍数調べたりしないでぇっ……////」


 俺に狂四郎への思いを言い当てられた襟は、恥ずかしそうに顔を覆った。


「でも、お前、男嫌いだったんじゃ…」


「そうだけど、狂四郎さんは昔から私に優しくて、胸も邪な目なんかで見て来なくて、あの人は他の男とは違う気がする。だけど、素直になれなくてついキツイ言葉が出ちゃうの……。狂四郎さん、こんな私より、可愛い素直な女の子がいいわよね……」


 なんと……!さっきまで猛吹雪のような態度はどこへやら、恋する乙女そのものの顔で弱々しく悩みを語る襟に、俺は目を見張り、そしていい事を思いついた。


「よし!そういう事なら、任しとけ!俺があいつの事調べてやる!」


「えっ。ちょっ……!一寸法師?!」


        ✽


「はい。テストを返すぞ〜。森崎狂四郎。すごいな。今回も学年1位だぞ」

「森崎くんすご〜い」

「いやぁ……。」


「まぁくんももっと頑張りなよぉ?今回学年5位に落ちちゃったじゃん」

「ハハッ。試験期間ゆみとハッスルし過ぎちゃったかな?」



「赤西くん大好き〜」

「ははっ。ひかり、くっつくなよ〜」

「お〜い。赤西。学級委員だろ?このプリントの回答を集めて早く職員室に持って来てくれないか?」


「ああ。副委員長だから、僕やりますよ」

「おお。森崎、頼むな」


「ふんふん……。襟の想い人森崎狂四郎(17)成績優秀。生徒からも先生からも人望が厚いと。襟もなかなか見る目があるな……」


 襟の想い人の後を付け、学校での様子を見守ると、俺はその報告をタブレットに書き込んだ。


「うん。あいつとくっつけてやれば、少しは襟の男嫌いも直るだろうし、仲立ちをした俺に感謝して、妖怪退治を協力してくれるだろう。どんな女が好みなのか、更に調査を続けよう」


 俺は自分の名案に満足して頷きながら、森崎狂四郎の家に向かったのだが……。


 どよよん……。


 ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!

「クソッ。クソッ。クソッ!クソッ!」


「んん??」


 薄暗い自室に入ると、森崎狂四郎は机の上に拳を叩きつけ始めた。


「こっちは独り身だっていうのに、どいつもこいつもカップルでイチャイチャ、イチャイチャ、目の前で盛りやがって!!


 学生の本分は勉強だろ?!勉強しろよっ!!

 あと、委員長の赤西っっ!!面倒な仕事ばっかりこっちに押し付けてくんじゃねーっっ!!

 周りでイチャイチャしてるカップル、皆、皆、死に晒せーーーっっ!!!」


「な、何だ?コイツ、急に雰囲気が変わって……!」


「そうだ、今日一ムカつく奴を忘れていた!近所の幼馴染み六条襟っ!!胸と態度ばっかりデカくなりやがって!!二度と生意気な口を聞けなくなるぐらいその巨乳を揉みほぐして調教してやるーーーっっ!!!ゲヘヘへ……」


「ひっ…!?」


 妖しい手つきでワキワキと動かす森崎からドス黒い煙のようなものが立ち昇り始めた時……。


 ピピピピッ!!

 霊界タブレットの警報が鳴った。


『妖怪反応アリ!妖怪反応アリ!アト24時間以内二初級〜中級程度ノ妖怪ガ発生スル確率85%デス!』


「ええっ!!」


 初めての妖怪反応に俺は目を剥いた。


「コイツ人間じゃなくて、妖怪だったのかっ?!」


『妖怪デハナクテモ、人間ノ中ニハ、自身ノ怨念ヲ爆発的二増幅サセテ、切リ離シ、妖怪化スル特異体質ノ者ガイマス!

 森崎武人ハソノ特異体質ガカナリ強イタイプデス!協力者ガイナイ今、早急にココヲ離レル事ヲオ勧メシマス!!』


「…!!|||||||| わ、わああーーーっっ…!!」


「ウヒャヒャヒャ……!アヒャヒャヒャヒャ……!」


 霊界タブレットの勧めに、恐怖した俺は、森崎狂四郎の哄笑が響き、モクモクと毒々しい煙が立ち込める部屋を命からがら逃げ出したのだった。





✽あとがき✽


読んで下さり、フォロー、応援、評価下さって本当にありがとうございます!


今後共どうかよろしくお願いしますm(_ _)m



※本作品、字数が9997文字でぎりぎりでして、こちらの文面は完結と同時に削除後、また、改めて近況ノートでお礼をお伝えしたいと思います。

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