吸血鬼王の企み
天使が気を失うまで甚振り抜いた後、拷問の過程で抜け落ちた羽根の何枚かを掴んで大地の魔王は部屋を後にした。その表情はどこか、野山で見つけ出した宝物を大事に握り締めている幼子のようなところを感じさせた。アリイの味わった凄まじい痛みなどお構いなしである。丁度、幼子の「宝物」が、時に生きた虫から引き千切った綺麗な羽であるように。
しかし、彼にとっては不満足な結果であった。悲鳴は幾らでも聞けたが、アリイの意思を挫いているという手応えはなかった。ただ血を啜りながら愛撫している時の方が、余程魂を苦しめているように感じられた。
ではどうするか。残酷な吸血鬼王は城内を歩きながら考えを巡らせた。そして庭園を手入れしているダヴァニム人の血隷の姿が視界に入った時、一つの可能性に思い当たった。
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