二話 手紙
私には小学生から仲良くしていた友人がいます。仮にここではAさんと書かせていただきます。
小学生時代Aさんはいじめられっ子でした。上靴を隠される、仲間外れにされる、物を取られるなど、私は同じクラスでしたが当然加担していたわけではありません。学校以外では積極的に遊んでいましたし、それなりに仲は良かったと思っています。でも見て見ぬふりをしていたのはとても心残りに思っています。
二学期が始まってしばらくしてからでした。その子は住んでいたマンションから飛び降りました。発見された時には意識不明だったらしいです。
そのことを担任の先生から聞いた翌日、いじめていたクラスの男の子達の机の奥から一通の手紙が見つかり、一限目が終わった後の五分休みのタイミングで一人が封筒を開き手紙を見ました。
その瞬間、絶叫を出しながら男の子は教室を抜け出しました。他にも手紙が入っている子は何人かいましたが、その全員がAさんをいじめていた子です。
みんながあ然としている中チャイムが鳴って二限目の授業が始まり、結局いじめをしていた男の子達は一人を除いて怯えた表情して下校していたのを覚えています。そのうちの一人が教室を出る前に手紙をごみ箱に捨てたのが目に入り、みんなが教室から出て一人になったタイミングを見計い、そっとその手紙を拾ってみました。
デフォルメされた猫の絵が描いたかわいい封筒。星の形をしたシールが貼っていて不気味な感じは一切ありませんでした。おそるおそるシールを剥がし、中に入っている半分に折られた紙を広げました。
『【私をいじめていた人たち】へ
私を生んでくれてありがとう。今から会いに行きます。
『Aより』
手紙にはそう一言だけ書かれていました。
あれから数十年、その子は今でも友達として何回か一緒に遊んでいます。ですが教室を飛び出した子は行方不明になってしまい、数こそ減りましたが今でも手がかりを探すための貼り紙が貼られています。
※これは私の妄想です。
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