エピローグ

エピローグ

誰もいないマンションの一室。

テレビニュースの声だけが響き渡る。

連日重なる変死のニュース。

「玉村美明さん運転中に何らかの理由で死亡 」

そんな見出しに反応するものは誰一人としていない。

ニュースは続けた。

「鷹川市周辺で、変死が相次いでいます。皆さん。お気をつけください。」

ガチャリ

ドアが開く音がする。

鉄扉が開く。

中年女性が管理人と共に中に入る。

女性はその場で泣き崩れ、管理人は女性をなぐさめながら部屋を出て行った。

数時間かけて女性は泣きながら美明の荷物まとめた。纏めた荷物を持ち、女性は出ていく。

そして部屋には静寂が響く。

マンションには空き部屋のチラシが貼られた。

 

 

葬儀会場に続々と人が集まる。

美明の遺影の飾られた斎場には生前の奴瘉が佇み、いやらしい笑みを浮かべる。

「身代わりが出来た」

奴瘉はそう呟き、奥の間へと去っていった。

人々が集まる奥の間に奴瘉がいることには誰も気づかず、出された食事を進める。

奴瘉は一人の女性に近づき「みーつけた」と呟く。女性は食事の手を止め、歌い出す。

禁じられた悲歌を。

 

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闇夜へ~呪禁のやしろ 如月幽吏 @yui903

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