新月

iは大樹の怒りと、

己の欲望過多により

九尾の狐と呼ばれる妖怪となり山に籠もっていた。


現在、鉄鍋山の麓、滝壺ウラに潜伏中。


Vとカサフは、馬の蹄の跡を辿り、

ようやくiの居所を突き止めた。


「ここだな···」


「ああ。準備は良いか。行くぞ!!」


iは、素早く狐に化け、森へと疾走する。


それを追うV、カサフ。


弓を構えるが、iの走るスピードが

早過ぎて狙いが付けられない。


「糞」


「Vよ、慌てるな。必ずチャンスが来る。それを見逃すな」


「ああ···」


開けた場所にでた。


と、iが立ち止まりこちらに向き直る。


「観念しろ、i」


「ふん」


iは、煙幕弾を放った。


辺りは白い煙で充満し、視界が遮られ何も見えない。


「?!」


と、Vの身体に変化が起こっていた。


たちまち、Vの姿は大狼に変わった。


「V、お前まままさか··」


その時朝方の暗い空に、

妖しく新月が居座っていた。












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