第4話『レジ袋』

「—あぁあ〜!」

 叫んだときにはもう手遅れだった。

「あーあ。コンビニのお姉さんがゴミ箱に捨ててって言ってたのに」

「風に吹かれたんだから不可抗力だ!」

ふかだけに?」

「やかましいわ!」

 退院後の帰り道、俺たちはこの前のコンビニに寄ったのだった。迷惑をかけてしまったし、高頻度で行くもんだから、それなりに面識もあって退院の報告をしに行ったのだ。

 なんの生産性も無い会話で盛り上がりつつ、食べ歩きは今後やめようと決心して帰宅の足を早める。

 いよいよ家に着くと、ここからは魔卓こたつに潜ってぬくぬくタイムだ。熊野に抱きつくのも一つの選択肢なのだが、それをすると何となく彼の彼女に申し訳ないので今回はやめておいた。

「多田野〜」

 くつろぎ始めてすぐ、熊野に呼ばれた。

「なにぃ〜?」

「なんかエッグスにレジ袋のポストがあるぜ」

「はぁぁ?」

 だるいと思いつつ気になって熊野に例のポストを見せてもらう。

「ん〜…。なんか見覚えがある気がする」

「そんなまさか。多田野の考えすぎだろ」

(まぁ、確かにそれなら良いんだが…)

「で、レジ袋がなんだって?」

「クラゲ人族のAさんの愚痴。『彼女と間違えて声をかけてしまい、それを見られて浮気だと思われたらしく彼女にフラれました。陸の民、許すまじ』だって」

「く、くだらねぇ…」

—と、思った今日この頃です。

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死にたくなければルームメイトは同種族をオススメします! 汐空 綾葉 @6294_07

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