第3話『お会計』

「熊野〜。何買うか決めた?」

「あぁ、コレと…コレ」

「んじゃ、俺はコレ〜。お会計行くぞー」

「おー」

—■■が一点、○○が一点、▲▲が一点。レジ袋はご入用ですか?

「お願いします」

—はい。あ、ゴミ袋を捨てる際は、海中にお住まいの方々へ配慮して、分別をしてからゴミ箱の方へよろしくお願いします。え〜合計、666円です。

「おお〜。ゾロ目じゃん。ラッキーだな多田野。多田野?うぃ」

 熊野は興奮気味にちょっぴり頬を赤らめて、こちらに拳を合わせに来た。だが、俺にはそんな余裕など…無い—

「ごめん…。今までありがとう。最後に黙ってたこと白状するわ」

「え、待って。気になるけど待って?」

 熊野が戸惑いながらも、俺の両肩を掴んで顔を覗き込んで来る。それを振り解…くことは当然できないので、ジタバタともがく。やはり熊のパワーは伊達じゃぁない。

「ごめん。ほんっとにごめん。友達失格だわ。取り返しのつかないことした。最後に償わせて欲しい」

「いやいやいや!待てって!そんな悪いことって何!?何をしたの!?いやその前に、なんで急にそうなった?」

 熊野がこの数字について何も知らないことの方が、俺としては戸惑った。

「6・6・6だよ!?悪魔の数字だよ!?!?」

「なにそれ!?!?」

(オイオイ、マジで知らねぇのかよ)

「パンドラの箱、開けちゃったんだよねぇ。だy—」

「うわヤッベェなマジか!!」

「まだ言い終わってねぇよ」

 ひとまず『やり過ぎちゃった都市伝説』のセキさんが紹介していた666について説明した。

「ほーん。で、?」

「いや驚けよ!」

「ん〜正直、多田野の懺悔の方が気になる」

「アー、いや。それ後でで」

「良くない」

 そうして彼は俺の肩に手を振り下ろす。熊野としては肩をポンっとしたつもりだったのだろう。だが、それはヒト族にとって会心の一撃となり得る。


ベキッ—


「おっふ—」

「うわぁぁぁあぁぁ!多田野ぉぉぉぉぉ!!」

 彼の絶叫が遠く聞こえる。俺は膝から崩れ落ち、地面に向かってバタリとへの字に突っ伏した。

「き、きゅう…救急車—」

「待ってろ今呼んでやるからな!」

—悪魔の数字の効果はてきめんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る