第12話

「なんで俺に、眞山社長は頼んだのだろう、と思ったけど。

俺がこういう事に慣れていると思ったんでしょうね。

そして、俺が自分と同類だと」



同類?、と、何処か問いかけるように、私はこの男に目を向けた。




「あくまでも、俺の場合ですけど。


簡単にセックス出来る女性が何人か居て。

なんとなく、その中でも切るのがめんどくさいって思う女って分かるんですよ。

だから、切る時は中途半端ではなくて、初めからとことん、って感じでしょうか」



それで、この人は眞山社長に頼まれて私の元へとやって来た。



私は、眞山社長やそんな彼と同類のこの人に、切るのがめんどくさい女だと判断されているのだろう。




「これ、眞山社長からあなたへと」



そう言って、茶色の封筒をテーブルに置いた。



その中身が何なのか、聞かなくても分かる。



お金。



「手切れ金って事ですか?」



「いえ。

これは眞山社長が普段のあなたの仕事振りを評価しての、寸志ですよ」




あくまでも、私と眞山社長との関係を、認めない。

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