第8話

改めて、目の前のこの滝沢斗希の顔を見ると、その顔に見覚えがある事に気付いた。



彼は、うちの会社、ベリトイの何人かいる顧問弁護士のうちの一人だ。



一度、その姿を会社で見た事があった。



何故、この人を覚えていたのかは、

この滝沢斗希の容姿が端麗で、

女子社員達が騒いでいたのを覚えているから。



あの時は、チラリ、とその姿を目にしただけだったけど、

今、この人を目の前にして、その整った顔に思わず、息を飲んでしまう。



見るからに高そうなチャコールグレイのスーツを身に纏い、

一切の隙も見せない、その表情に、私は怯んでいる。



私が何かを口にしても、

それをやり込められてしまうのが、

戦う前から分かり、戦意を喪失してしまう。

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