第2話

その人は、私が生まれて初めて本気で愛した人。



「結衣(ゆい)の肌は温かくて柔らかいな」



一糸纏わぬ姿の私の上で、彼、眞山綾知(まやまあやとも)も何も身に付けない姿で、私の肌を撫でる。



それは、手であったり舌であったり。



「---あ、社長」



「また、社長って呼んだ」



耳元でクスクスと笑うその声が、こそばくて体に力が入る。



大きな手で、私のその部分に触れ、確かめると、彼自身が私の中へと入って来る。



それと同時に感じる快楽に、私の体にさらに力が入る。



お互いの呼吸が激しく乱れ、それと同じように激しく揺れる体。



大きなダブルベッドの上。



此処は、都内のラグジュアリーなホテル。



「愛してる、結衣」



体を重ねながらそう囁かれた言葉を、

この時は、微塵も疑う事なんて無かった。



大会社の社長である彼が、ただの秘書である私に"本気"なわけなんて無かったのに。

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